- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「まるでディナー帰りのような顔」井上尚弥の“無傷”に英国人記者また言葉失う…ガードの上から衝撃KOパンチ「この階級に敵いない」
posted2023/12/28 11:07
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Takuya Sugiyama
“モンスター”の強さは再び世界中を感嘆させるに十分だったのか。12月26日、有明アリーナでスーパーバンタム級の4団体統一戦で、WBC、WBO王者・井上尚弥(大橋)がWBAスーパー、IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ちをおさめた。2度のダウンを奪う完勝で、井上は下馬評通り、男子ボクシング史上2人目の2階級で4冠制覇するボクサーとなった。
ただ、中盤ラウンドは守備的だったタパレスを攻めあぐみ、珍しく被弾するシーンも。結果として、“少々苦しんだ”という声も一部のファンからは出ている。そんな井上の戦いぶりは、欧米の関係者の目にはどう映ったのか。年間MVP(Fighter of the Year)の獲得、パウンド・フォー・パウンド1位再浮上はあり得るのか。
試合後、リングマガジンの元編集人(マネージング・エディター)であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るうイギリス人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。リングマガジン、スポーティングニュースの両方でパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキング選定委員を務めるグレイ氏は軽量級にも精通し、井上の試合の現場取材経験もあるだけに、その言葉には常に重みがある。
以下、グレイ氏の1人語り【全2回の1回目/後編へ続く】。
間違いなくスーパーバンタム級で最強
タパレス戦での井上のパフォーマンスはオールラウンドで規律の取れたプロフェッショナルなものだったという印象を持ちました。普段よりも辛抱強く戦い、タパレスを確実に凌駕し、10ラウンドのノックアウトに繋げました。総合的に見て、私は井上は今回も素晴らしかったと思いますし、特にスーパーバンタム級は彼にとって4階級目だということを考慮すればなおさら。井上は間違いなくこの階級で最強でしょうし、太刀打ちできる選手がいるとは思っていません。