酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「高校時代はスコアブックを見る程度」の西武・平良海馬が…“データ野球の申し子”になった真相を明かす「その頃から高めを狙うという」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySeibu Lions
posted2024/01/05 17:30
平良海馬はデータ活用が進む球界を象徴する1人だ
「2020年から(ラプソードなどの)データに出会って、高めの速球の方が空振りが取れるとわかっていたので、その頃から高めを狙うというスタイルを心がけています。空振りになるし、ファウルにもなるというところで、もちろん打たれそうな感覚もあるんですけど、実際はそれほど打たれていません。長打も2、3本しか打たれていないですから。今季は一本真ん中に入ったのが打たれましたけど、それ以外はなかったですね。
ボールの回転数は高めでも低めでもそんなに変わらないと思うんですが、ただバッターから見てストライクゾーンに入ってくる角度が違いますし、高めの方が伸びて見えますし。僕は縦の変化量が平均か平均以下なのですが、そんな中でも空振りが取れているので、高めに投げ込むのは大事だと思います」
体も鍛えながら、データの勉強も
――救援から先発に転向して成功するのは、そんなに簡単なことではないはず。相手打者もいろいろ研究してくると思いますが、来季はどうしていきたいと考えていますか。
「投げた球がどういう結果になったのか、空振りがどれくらいとれたかなどのデータを見て、ストライクや空振りが取れなかった球種はしっかり改善しています。
オフシーズンは、球種ごとの変化量とかを調整しながら、よりよくしていきたいという感じですね。自分の課題に向けて、毎日練習しています。体も鍛えながら、データの勉強もしっかりしていきたいですね」
昔の選手はオフの過ごし方を走り込み、投げ込み、体力づくり、精神修養、英気を養うという表現で、かなり大雑把に話していたものだ。しかし、今の一線級の投手はデータを用いてもっと具体的に、目標設定をして日々努力を続けている。それを支えるアナリストがいて、彼らを支援する体制が球団にできている。
プロ野球は確実に進化していると実感する。
そして埼玉西武ライオンズからはデータ野球のもと、さらに魅力的な選手が続々登場してくるだろう。