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「モモはかなり鍛えているので注目して」高橋藍が“世界”に勝つために目覚めた肉体改造「筋肉は“鎧”」「高校時代はひょろひょろだった」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/12/18 17:00

「モモはかなり鍛えているので注目して」高橋藍が“世界”に勝つために目覚めた肉体改造「筋肉は“鎧”」「高校時代はひょろひょろだった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界最高峰イタリア・セリエAに挑戦し、肉体も進化する高橋藍(写真は2022年)

「高校時代からウェイトトレーニングに取り組んではいましたが、当時はボール練習がメインで全体の練習時間も長い。練習を終えて自宅に帰れば22時過ぎは当たり前で、23時近いこともあったので、それから食事をするといっても食べる気すら起こらない。身体をつくるための要素を全然満たせていませんでした」

 当時の写真や画像を見ると「びっくりするぐらいひょろひょろ」と笑うが、それでも技術だけなら十分通用した。特に身長がなかなか伸びなかった中学生の頃に守備専門のリベロを経験したこともあり、もともとレシーブ、特にサーブレシーブには自信がある。守るだけでなくレシーブしてから攻撃に転ずるスピードの速さも高橋の長所で、東京五輪で男子バレー日本代表を率いた中垣内祐一前監督も「あれだけの正確なレシーブから、スピードを落とすことなく攻撃に入れるのは日本が必要とする大きな武器」と惚れ込んだ。

 日本国内ではもちろん、海外でも高橋の名はまだ知られず、すべてが目新しい新戦力であるうちは、それだけでもいい。だが日本代表に選出されてすぐ東京五輪を控え、コンタクトスポーツでないとはいえ、屈強なブロックを打ち破るパワー、さらには試合が長時間に及んでも動き続ける持久力、目まぐるしい攻守の切り替えに対応する俊敏性と、求められる要素は比較にならないほど増えた。

世界と渡り合うために決意したイタリア挑戦

 特に高橋が課題としたのが、前衛時のスパイクだった。世界には2mを超える選手は当たり前。しかも1人ではなく2人、3人と立ち並ぶブロックを打ち破る強さがなければならない。世界の舞台に立つだけでなく、渡り合うための技術と経験、打ち負けぬメンタルと屈強な身体を得るべく、日体大の現役大学生である高橋は東京五輪を終えた2O21年の12月からイタリアへ渡り、バレーボールの世界最高峰であるセリエA、パドバへ。2年続いて契約を結んだ今季はシーズン開幕前の9月から渡欧し、アウトサイドヒッターとして出場を重ねてきた。

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