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「モモはかなり鍛えているので注目して」高橋藍が“世界”に勝つために目覚めた肉体改造「筋肉は“鎧”」「高校時代はひょろひょろだった」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/12/18 17:00

「モモはかなり鍛えているので注目して」高橋藍が“世界”に勝つために目覚めた肉体改造「筋肉は“鎧”」「高校時代はひょろひょろだった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界最高峰イタリア・セリエAに挑戦し、肉体も進化する高橋藍(写真は2022年)

 筋力がついて跳躍力やパンチ力が増す一方、負荷がかかればそれだけケガのリスクも生じる。特にバレーボール選手はジャンプからの着地時に膝や足首にかかる衝撃が大きく、障害予防もトレーニングの目的で、だからこそ高橋は筋肉を「鎧」にたとえる。

「同じ着地でも、股関節で衝撃を吸収できる選手と、膝の屈伸で受け止める選手がいて、僕は後者のタイプ。少しでも膝にダメージがかからないように、大腿四頭筋や裏腿、お尻の筋肉を鍛えるのも大事なので、ノーマルスクワットでは膝が前に出ないように意識しています。足を前後に開いたブルガリアンスクワットも日常的に行うメニューの一つです」

 知識と感覚が直結し「トレーニングの面白さがわかってきた」と目を輝かせながらも「筋肉の名前はよくわからない」と笑う。

 だが部位の名前はわからずとも、よりよい筋肉を鍛え、強い身体をつくるべく、食生活にも以前より高く意識が向けられるようになった。日本の学生寮では自炊ができないことも多いが、イタリアではそれぞれ個別に暮らす部屋があり、キッチンも完備されている。

料理も上達「ご褒美はカルボナーラ」

 調理法や食材を語る口ぶりには、自炊生活の充実感が表れていた。

「体重を落とさないようにまずはしっかり食べる。お米は毎食必ず食べて、3合炊きの炊飯器で炊いたご飯を1食で2合半食べます。もちろん炭水化物だけじゃダメなので、たんぱく質を必ず摂るために鳥か豚をボイルか焼くかして、ブロッコリーやほうれん草、緑の野菜もちゃんと摂るようにします。特にブロッコリーは100gあたり5gのたんぱく質が含まれていると教わったので、食べる頻度は高いですね」

 渡欧したばかりの2021年は、自炊も茹でたパスタに現地で売られているパスタソースをかけて食べるぐらい。しかも「しょっちゅうお腹を壊していた」と自嘲気味に振り返るが、今はずいぶん腕も上げた。

「時間がある時は、自分へのご褒美も兼ねてよくカルボナーラをつくるんです。料理をしている時は気分転換になるし、何回もつくっているからコツも覚えてきた(笑)。栄養バランス的にはちょっとカロリーと脂質オーバーですけど、めっちゃうまくできるようになりました」

 鍛えるばかりでなく、ストレッチも入れてしなやかな筋肉を磨くように、バレーボールやトレーニングにストイックに向き合いながらも、適度に肩の力を抜く。

「SNSを見ていたら、僕がサーブを打つ時にルーティーンでユニフォームのパンツを上げる時に見える太ももの筋肉がいい、って書いてあって。そんなん見られてるんや、と思いますけど(笑)。腿周りはかなり鍛えているので、注目して見てもらえると嬉しいですね」

 今秋には東京でパリ五輪最終予選が開催される。熾烈な五輪予選自体が高橋には初めてだが、むしろその緊張も楽しむよう、軽やかに、力強く。しなやかな鎧をまとい、高橋藍はどこまでも高く跳び続ける。

●初出/Sports Grapchic Number1066号(2023年1月12日発売)[イタリア挑戦の変化]高橋藍「屈強な鎧と高さを身につけて」》

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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