世界の猛者を相手に戦うのが当たり前。重ねる経験だけでなく、一目で変化が伝わるのが身体つきだ。今季も渡欧して2カ月あまりで「3kg増えた」と言う通り、日本代表に加え、イタリアでのウェイトトレーニングによって身体は一回り以上大きくなり、全体的に厚みを増した。

　空中でフォームを維持し、最も高いポイントからボールをハードヒットするために体幹を鍛えるのは不可欠。さらに腕の振りが速くなれば、ムチがしなるようにボールを強く叩くことができる。肩回りを主とする上半身も必須だが、現在高橋がトレーニングで重点的に取り組んでいるのは下半身。より高く、速く跳ぶために、助走からの出力をいかに高めるかが大きなテーマだ。

今季からモンツァに移籍した高橋藍　©︎PA Images/AFLO

「グッと地面を蹴って、踏み込んでから上がる。そこでかなりの力を使うだけでなく、その動作が速ければ速いほど高く跳べるんです。ただ跳ぶだけでなく、空中でスパイクを打つための姿勢を維持する。ジャンプから着地してまた次の動きに転ずる切り返し、跳ぶ、打つ、というプレーの中で常にスピードが求められるのもバレーボールの特徴です。その土台になるのが下半身なんですが、たとえばスクワットをするにしても、ただ重い重量を担げばいいというのではなくスピードを意識する。重りを持ったままジャンプしたり、速く動き、跳ぶための筋肉をつけることを一番意識しています」

体重が増えたのにジャンプ力が増した？

　イタリアでの「最低でも週3回」のウェイトトレーニングの効果は、連戦が続く中でも実感している。

　通常、筋肉がつくと体は重くなるが、高橋は体重が増えたにも関わらず、ジャンプ力が増したと証言する。

トレーニング中の高橋藍（2022年パドヴァ時代）©︎Kiichi Matsumoto

「明らかにジャンプが上がった。ちゃんと計測していないのでわかりませんが、これまでの最高到達点（343cm）は上回っているだろうな、と。スパイクを打つ時に僕は相手ブロックを見てから、どこに打つかを考えているのですが、今は空中でより相手のブロックがよく見える。それだけ高く跳べているということだし、ブロックを抜くだけじゃなく、当てて飛ばすパワーもついた。ボールヒットの感覚が全然違っていて、自分の中ではスッと跳んでパン、って軽く打っているんだけど、打球はズドンと行く。ちゃんとトレーニングできていると、ホント、面白いんですよ」

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