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岡田彰布が放った「流行語のアレ」全341回を徹底検証「お偉いさんも“アレ”と呼ぶ」「実は少ない“優勝の意味”」では用法ランキング1位は?
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byKichi Matsumoto
posted2023/12/02 06:00
岡田彰布の「アレ」全発言を検証してみた
人を指す「アレ」の例
●例2:先発の青柳晃洋を6回途中で岩崎優にスイッチ
-青柳の交代は思い切った。
「いやいや、あれ始まる前は7回までいける言うとったんや。80(球)いってなかったしな。でも途中であの回だけはいかそうと思ったけどな」(*)
「あれ始まる前は7回まで」と区切れば、「あれ=6回」と考えられる。一方、「あれ始まる前は7回までいける言うとったんや」まで読むと、「あれ=青柳」の可能性が高い。述語が「言うとったんや」のため、主語は「人」だと思われる。つまり、この例では「あれ=青柳」と判定する。他の日の一問一答を参照しても、人を指す「あれ」は複数見受けられる。
●例3:4月7日 ヤクルト戦 相手先発・小川泰弘の話題で
-小川にやられた。
「あれ、よかったんちゃう、小川な。初戦も0点で抑えとったしな。オープン戦で当たってたけど、オープン戦以上に良かったよな。コントロールがええな」
この場合、前や後を指しているとも読めるが、いずれも「あれ=小川」であり、人を指す「あれ」と判断できる。
●例4:8月3日 中日戦 相手先発・仲地礼亜の話題で
-打線は初対戦の投手から序盤に。
「そうやなあ、まあ、どんなピッチャーかな思たけどなあ、まあ前回は抑えとったみたいやけどなあ、DeNAを。1安打やろ、あれ。まあ、あんまり分からんねえ、そんなお前、映像は見たけど、まあ打てそうやと思たけどなあ、スタートしてからはな、おーん」
仲地は7月26日のDeNA戦で6回1安打と好投しており、「あれ」は仲地を指しているのだろう。さらに岡田監督は敵の選手だけでなく、いわゆる“お偉いさん”も“アレ”と呼ぶ。
お偉いさんも「アレ」…だが他意はない
●例5:8月20日 DeNA戦 前々日の9回1死一塁からの熊谷敬宥の盗塁アウトについて
-今日、NPBからセ・リーグの杵渕統括が来た。
「まあ、オレの言うたことが、ちょっとは検討することになったんちゃう」
(中略)
-そういう意味ではリーグも迅速に対応した。
「明日かなと思ったんよ。今日、日曜日やからな。わざわざ、今日来たから、トップのアレがなあ。そら、来るいうことはやっぱり、なあ、何かあったいうことやからな」(*)
厳しい物言いに聞こえる人もいそうだが、特に他意はなく、辞書にある通りの人称代名詞として「アレ」を使っているのだろう。その証拠が以下だ。