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岡田彰布が放った「流行語のアレ」全341回を徹底検証「お偉いさんも“アレ”と呼ぶ」「実は少ない“優勝の意味”」では用法ランキング1位は?
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byKichi Matsumoto
posted2023/12/02 06:00
岡田彰布の「アレ」全発言を検証してみた
●例6:8月19日 DeNA戦 球宴明け以降、11試合連続自責点0の桐敷拓馬について
-桐敷は回またぎもできる。
「そら、まあオールマイティーやろ。今はスペードのエースやろ。あれ」
桐敷をトランプで最高のランクを持つ「スペードのエース」と表現しながらも、「あれ」と呼んでいる。当然、悪意はない。これらの例のように、人を指す「アレ」は341例中52例あった(7月8日ヤクルト戦後の「あれ誰や」は「あれ=誰」なので、人を指すと考える。あれが誰かは後述)。
「アレ用法」ランキング発表!
全341回に及ぶ「アレ(あれ)」を1つひとつ判別していくと、岡田監督のアレ用法ランキングは以下の結果になった。
【岡田監督の「アレ用法」ランキング】(%は小数点2位を四捨五入)
1位:107アレ(31.4%):前の内容を指す
2位:106アレ(31.1%):文脈で読み取らせる
3位:60アレ(17.6%):後の内容を指す
4位:52アレ(15.2%):人を指す
5位:10アレ(2.9%):優勝
6位タイ:3アレ(0.9%):驚き
6位タイ:3アレ(0.9%):あらへんの変化形
※1 基本的に指示代名詞、人称代名詞、感動詞の「あれ」を対象とした。「~であれば」「〜があれば」などの接続語は除く。
※2 デイリースポーツonlineで「岡田 監督 アレ 一問一答」「岡田 監督 あれ 一問一答」と検索して調査。
※3 デイリーがカッコ内で人物名を挙げている場合、それに従う。例えば、9月23日は中野拓夢の最多安打争いの話題になり、「おぅ、なあ、今日ノーヒットやったやろ、あれ(牧と岡林)、なあ」と記載されている。
※4 上のように「あれ」が2人を指した場合、一括りと考えて「人を指す」は1カウント。
※5 「あれ」が侍ジャパンやピッチャー、高卒の1年生など3人以上の集合体を指している場合、「人」には数えない。
通常、「あれ」という指示語はほとんど前を指している。しかし、岡田監督の場合、「いやいや、それはあれや、表情と心は違うよ、そら」(4月8日)のように、後の内容を指す用法が頻繁にある。そのため、迷うケースでは後への指示語と判断した。
6位タイの驚きの「アレ」(感動詞)は「リリーフカーが来とったから、あれ思ったけどな」(DeNAの投手交代に驚く/8月19日)、「門別とか何あれ、自分のクラブなん?」(門別啓人のゴルフクラブに驚く/11月22日)などの用法だ。
同じ順位のあらへんの変化形の「アレ」は「次って試合あれへんやないか。いつ投げんのよ。あれへんて、それは。それはもう来年の楽しみやんか」(先発の門別について/9月30日)など3回の使用が確認された。
シーズン中に限れば、報道陣との一問一答で「アレ」を優勝の意味で使ったのは1日だけ。甲子園球場での優勝決定日のインタビュー(3アレ)しかなかった。
今まで見てきたように、岡田監督の「アレ」判別は困難を極める。最難関の例が、7月8日ヤクルト戦後の「あれ誰や」「あれはあれやで」である。あなたにはその意味が解けるだろうか?
〈第2回「最大の謎『7月8日のアレ』」へつづく〉