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競馬学校でも恒例「坊主」…騎手はどう思っている?「嫌ではなかった」「許しが出たら伸ばそうかな」関係者9人に聞いた、髪型の話
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph bySankei Shimbun
posted2023/12/03 06:00
卒業式に出席した競馬学校の生徒たち。騎手クラブの会長を務める武豊と坊主姿の男子生徒が記念撮影を行うのが恒例となっている
「昔、父が大レースを勝った時の写真が実家にあるんですけど、だいぶ明るい髪色でした(笑)。昔の方が派手だったのかもしれないですね」
ゆとり世代以降、髪型や上下関係といったしきたりが薄くなったのかと思いきや、意外とそうではないようだ。当時の髪型事情について教えてくれたのは角田調教師の5年後輩にあたる元騎手の渡辺薫彦調教師(48歳)。
「あの頃、同年代の騎手の多くが通う美容院があって、似た髪型の騎手も多かったです。僕は騎手時代にロン毛の取材を受けたこともあって(笑)。ずっと茶髪でしたけど、師匠から特に何かを言われたことはありませんでした」
「どう見られるか」の意識
そう考えると、インターネットやSNSで様々な情報が発信されるようになった現代の方が、プロとして「どう見られるか」を強く意識する風潮にあるのかもしれない。GIをすでに複数回勝利し、海外の重賞も制覇している若手ホープの坂井瑠星騎手(26歳)もある着眼点を持つ。
「競馬は馬が主役。人が目立ちすぎないよう、馬具は基本的に黒で統一してシンプルにしています。競馬学校に入学したら坊主になると認識していたので、特に嫌という感情はなかったですけど、騎手としていつ撮られてもいいように意識して行動しています」
一方で、地方競馬で金髪の20代の騎手からはこんな意見も。
「僕は外見で営業をしようと思っていなくて、技術で判断してほしいと思っています」
デビュー10年に満たないが、彼の騎乗技術は厩舎関係者の間で一定の評価を得ている。金髪だからといって仕事に不真面目なわけではない、見た目で判断してほしくない、そういった矜持を持っている騎手がいるのも事実だ。
女性騎手で話題になる「邪魔にならないか」問題
視点を変えて、女性騎手の場合はどうか。国内で最長キャリアと最多勝記録を更新し続ける宮下瞳騎手(地方・名古屋)はこう話す。