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競馬学校でも恒例「坊主」…騎手はどう思っている?「嫌ではなかった」「許しが出たら伸ばそうかな」関係者9人に聞いた、髪型の話
posted2023/12/03 06:00
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph by
Sankei Shimbun
今夏の甲子園で優勝した慶應義塾高校野球部。「高校野球の選手=坊主」という概念が無意識に根付く中、少し伸びた短髪は世間に様々な議論を巻き起こした。
一方で、高校野球を含めあらゆる競技や分野で若者の坊主の風習は残る。たとえば、競馬界もその一つ。騎手は養成機関であるJRA競馬学校入学時から男子は坊主が恒例の光景となっている。管轄するJRA(日本中央競馬会)は校則について「学校内部の規則であり、外部に出せる情報ではないので、お答えしかねます」との回答だが、毎年デビューしていく新人男性騎手は卒業時に決まって坊主であることから察するものはある。
3年間だけなので坊主でもいいかな
では、当人たちは髪型についてどう感じているのだろうか。2022年に競馬学校を卒業したばかりの鷲頭虎太騎手(19歳)は「競馬学校在学中の3年間だけなので、坊主でもいいかなと思っていました。他にも色々と規則があったので、髪型だけが緩和されたところで心情的にはあまり変わらないかなと思います。元々、ずっと空手を習っていて坊主だったこともあって、嫌ではなかったです」
幼少期からのスポーツ経験や、そこでの慣習も影響を与えているようだ。加えて「坊主だとヘルメットが被りやすい」というメリットもあったという。
新人騎手を預かる調教師の思い
もう一つ、坊主のメリットは、見た目の爽やかさから好印象を与えることができる点だろう。新人騎手を預かる大橋勇樹調教師(62歳)はこう話す。
「所属騎手には『“減量”がついているうちは坊主の方がいいんじゃないか』と伝えています。髪の毛を伸ばしたり染めたりするよりも愛嬌があっていいと思います。逆を言えば、髪の毛を伸ばしたかったら早く“減量”を取れよ、ということですね」
これまでもずっと坊主でした。でも…
減量とは、経験の浅い新人騎手に対する制度で、デビューから5年未満、または通算100勝未満の場合、その勝利数に応じてレースでの負担重量が軽減される措置だ。これが適用されている間は見習騎手という呼ばれ方もする。つまり、一人前になるまでは坊主の方が周囲からの印象もいいだろう、という師匠の親心でもあるのだ。