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「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/11/13 11:01

「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前半戦は苦戦も9月の終盤戦で復活を遂げた大貫晋一。今季、一体何が起きていたのか。本人が振り返る。

 球種が多いゆえの取捨選択。自分の球質も考慮しながら組み立てられるのが大貫の強みだ。しかし3連勝後、大貫は再び勝ち星から見放されてしまう。イニングが食えず、中途半端な形でマウンドを降りることがつづき、8月5日の阪神戦(横浜スタジアム)で3回5失点の今季ワーストを記録し、再びファームへ降格してしまう。

スプリット一本頼り

「あの時期は、よくなっていた真っすぐがだんだん指に掛からなくなってきていました。またスライダーが感覚的にいまいちで、スプリット一本頼りになってしまい、カウントを取るのに苦労しましたね」

 手詰まり感。カウントを進めることができず、不用意に球数を重ねてしまう悪循環に陥った。

「相手バッターも、このボールを待っていれば大丈夫だろうって、読みが簡単になっていたと思います」

思い出した1年目

 ふと思い出したのが1年目の大貫の姿だ。自らカウントを苦しくしてしまい、決めきれず、被弾してしまうケースが多々あった。

「まあ、あの当時は球種も少なかったのもありますし、今は真っすぐの球速アベレージも上がっているので、今の方が心理的な面も含め、余裕という部分はあるのですが……」

 経験を重ね、スキルアップをしても、幾度となく立ちはだかる壁。しかし、これを乗り越えていかなければ、真に信頼される存在にはなれない。

ファームで研鑽の日々

 その後、大貫はファームでピッチングを重ねた。グラウンドにかげろうが立ちのぼる猛暑のなか、集中力を切らすことなく四肢細部にまで意識を巡らし、感覚を研ぎ澄ました。

「コンスタントにローテをまわらせてもらって、だんだんと引き出しが増えていき、ボールの質を徐々に取り戻していく感覚がありました。あとはファームの小杉(陽太)コーチとデータを徹底して見直したり、アナリストの方と、動作解析の分野で去年とどう変わっているのかずっと話したりしていましたね」

そろそろ一軍に上がらないと本当にダメだよね

 この時期、一軍は優勝争いから後退し、苦しい戦いを強いられていたが、ファームにいた濵口遥大や平良拳太郎、三嶋一輝らと求められる仕事ができていない悔しさを共有していた。

【次ページ】 本当、チームには迷惑をかけてしまって…

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