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「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2023/11/13 11:01

「責任は感じています」今季まさかの不振、昨季DeNAチーム最多勝・大貫晋一に何が起きていた? 本人が語る“マダックス”までの道のり<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前半戦は苦戦も9月の終盤戦で復活を遂げた大貫晋一。今季、一体何が起きていたのか。本人が振り返る。

「フォームには問題なかったですし、春先は調子が良かったんです。開幕投手をやりたいと言ったのもありますし、気持ちも乗っていました。ただ、そういった思いが空回りしてしまったのかもしれない。飛ばし過ぎた? うーん、今振り返るとそうかもしれません」

 はやる気持ちとコンディション。以前、今永昇太がキャンプで調子がよく飛ばし過ぎて左前腕を痛めたことがあったが、投手のメカニズムは繊細だ。心と体がシンクロしなければ、思いもしないアクシデントが起こることがある。

 その後、調整をして4月22日の広島戦(マツダスタジアム)で大貫は自身にとっての開幕を迎えるが、ボールに勢いがなく、2試合を投げ、あえなく登録抹消された。

強さがない

「最初はボールが指に掛からず、前ほど強いボールがいかない感覚でした。野手の人に後ろや横からボールを見てもらっても『強さがない』と。昇格当時は、やはり真っすぐが有効に使えていないなという感じでした」

 変化球の種類が豊富で、相手に的を絞らせないピッチングが身上の大貫であるが、ベースにある強いストレートが生きなければ、変化球も効果を失う。

 そして5月28日に再昇格すると、中日戦(バンテリンドーム)では、完投目前の9回2アウトまで投げ、今季初勝利を挙げている。そこから3連勝し、頼れる大貫が戻ってきたことを印象付けた。威力のある強いストレートが目立っていた一方、この時期は大貫の持ち味のひとつであるツーシームを封印していた。

再昇格で3連勝も…

「組んだトバ(戸柱恭孝)さんともそういう話をしていて、真っすぐを多めにして変化球へ繋げられたのがよかったですね。確かにその時期はツーシームを投げていませんでした。ただ僕の真っすぐは、結構シュートしてしまうので、真っすぐを三塁寄りに投げ込めば右打者の内側に差し込めることもあって、そこでガンガン攻めることができたんです」

【次ページ】 スプリット一本頼り

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