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「水着を着てるほうが悪い」という風潮も…ビーチバレー“ユニフォーム自由化”の現在とは? 村上めぐみが語る「水着/ウエアの選択肢」
text by
吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byL)Asami Enomoto、R)Kenji Yamada
posted2023/11/05 11:01
日本代表として東京五輪に出場し、現在は選手会長を務めるビーチバレー選手の村上めぐみ
「私たちトップ選手が率先して、タンクトップでもビーチバレーボールができることを見せようと思い、試作品を作りました。水着より生地の面積が大きいので、所属先やスポンサー企業名を露出するにはいいですね。でも実際、練習で着て試したら、慣れていなくて気になってしまった。真夏だったので、汗を吸って重くなって、生地が体に張り付く感じがありました。だから生地を替えてもらって作り直しもしました。個人的には涼しくなってきたら、着用しようかなと思っています」
機能性という点では、ユニフォームによってメリット、デメリットが生まれる。現在は選手たちがそれを見極める移行期であり、ここにきて競技大会を司る日本バレーボール協会もひとつの決断を下した。2023年8月の男女全日本選手権では、これまで着用を指定してきた全選手共通のビブス(女子)の支給を取りやめた。
ファッションを選手自身が選べるように
女子の全日本選手権では、各チームが用意したウエアをユニフォームとして決め、会場ではブラトップなどセパレート水着の選手もいれば、タンクトップとショートパンツを組み合わせた選手の姿も。
方針を決めた日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業本部の川合庶本部長は、「これまで大会ごとに各選手へビブスを支給していましたが、予備なども含めると余らせてしまうこともありました。そういったエコロジーの面を考えて支給を取りやめ、競技の特性でもあるファッションを選手たちに楽しんでもらい、競技の魅力を伝えてもらいたいという狙いがあります」と競技団体としての方向性を示唆した。
「水着を着ているほうが悪い」という風潮
ユニフォームの自由度や開放感のある真っさらなビーチで個性を表現できることは、まさにビーチバレーボール競技の魅力のひとつと言えるだろう。その一方で、競技に取り組んでいる選手たちの肖像を狙った盗撮行為は未だ後を絶たない。「水着を着ているのだから撮られるほうが悪い」という風潮さえある。
これまでアスリートの肖像を狙った盗撮については、各競技場での犯行は各都道府県で発令している『迷惑防止条例』の違反に該当すれば、罰せられてきた。しかしながら、条例につき罰則の度合いもまちまちで、重い処罰が与えられるわけではない。
国は2023年7月13日、性的な部位、人が身につけている下着、わいせつな行為の盗撮、不同意による撮影は、盗撮行為として罰する『撮影罪』を施行した。しかし、残念ながら競技におけるアスリートへの盗撮行為はこれに該当しないとしている。