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「ビーチバレーは個性を発揮できる競技」 東京五輪代表・村上めぐみが考える競技の未来「小柄でも、バレーでトップだった経験がなくても」
posted2023/11/05 11:02
text by
吉田亜衣Ai Yoshida
photograph by
L)Getty Images、R)Asami Enomoto
ビーチバレー日本代表として東京五輪に出場した村上めぐみ。インタビュー最終回では、現在はコーチや選手会長としても活動する村上に、自身の競技の歩みやビーチバレー競技の今後について聞いた。《NumberWebインタビュー/全3回》
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村上は現在、一選手として前線に立ちながら、各地域のビーチバレーボールスクールのコーチや選手会長として、日々奮闘している。
「オリンピック出場を目指していた時はほとんど海外に行っていましたが、今は国内のいろいろな所でいろんな立場の人の声を聞く機会が増えました。その分、現場の情報も集まってきますし、今の自分の立場でできることを考えながら過ごしています」
「体育の先生になろうと思っていました」
日本代表として出場した東京オリンピック・ビーチバレーボール競技では、「世界最小のオリンピアン」として名を轟かせた。村上の身長は165cm。バレーボールでいうと守備専門のリベロプレーヤーと同じようなサイズ感だ。それにもかかわらず、床よりも不安定な砂のコートでスパイクも放つ。武器は、狙ったポイントへ突き刺さるスピードサーブ。効果率も上位に入る数字をたたき出し、誰よりも小さい村上は堂々たるプレーを見せた。そもそもなぜ、村上はビーチバレーボールの世界に足を踏み入れたのか。
「バレーボールは大学で終えて、体育の先生になろうと思っていました。だから、逆にビーチバレーボールをやろうと決めたとき、迷いはゼロ(笑)。もうひとつの理由は、自分のバレーボール人生において高校や大学であきらめたことにありました。このまま、先生になったら、生徒を前にして『あきらめるな』と簡単に言えないな、と思ったんです。だから、もう一度、あきらめることなくやり切ることに挑戦しようと。それがビーチバレーボールでした」