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悪質なズーム撮影、トイレまで付きまとい…ビーチバレー選手会長が明かす“性的撮影の実態”「浅尾(美和)さんは大変だったと思います」
text by
吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byL)Kazuaki Matsunaga、R)Asami Enomoto
posted2023/11/05 11:00
日本代表として東京五輪に出場し、現在は選手会長を務めるビーチバレー選手の村上めぐみ
水着は「最初は恥ずかしい気持ちもあった。ただ…」
前出の村上が大学卒業後、ビーチバレーボールのプロ選手として活動をスタートさせたのもちょうど同じ頃、2007年だった。村上は参入した時、ユニフォームに対してどんな印象を持っていたのだろうか。
「今は、水着でなくても試合に出ることはできますが、私が始めた頃は水着と決められていました。最初は少なからず抵抗もありましたし、恥ずかしい気持ちもありました。だから必然的に面積が大きめの水着を着用していたんです。だけど、海外で試合をするようになってから、考え方が変わりましたね。海外の選手は、腹筋も割れていてお尻の筋肉もパンと張って颯爽とプレーしている。水着の面積が小さくても嫌らしく感じない。そんな海外の選手たちの姿を見て、面積の大きい水着は動くとだぶつくしダサいな、と感じるようになりました(笑)」
時代の経過とともに、水着以外のウエアの着用が認められるようになってからも、村上はユニフォームとして水着を選択。スポンサー契約していた水着会社にオーダーメイドし、アンダーウエアの型にこだわり、機能性とパフォーマンスの向上を追求してきた。
「直接、肌に触れるものなので、裏地にある縫い目の幅や、生地の伸びや柔らかさも重要。防寒用で長袖を着ることもありますが、生地1枚あるだけでボールに触れる感覚が変わります。もちろん細かいことを気にしない選手もいますが、私はプレーに影響します」
悪質な盗撮「至近距離でオペラグラス」「ズームの指の動きで…」
公式戦のユニフォームにおいて水着を選択する選手は、村上だけではない。トッププレーヤーのほとんどが水着を身にまとっている。その傍ら、都心部や海岸で行われる国内大会では、女子選手たちの肖像を狙った盗撮行為が後を絶えない。現実問題、村上も現場で被害状況を目の当たりにしている。
「ビーチバレーボールの会場は、コートのエンドラインから5m後ろに観客席があって近い。そこからオペラグラスを使って試合を見ているお客さんがいるんです。さすがに選手たちも、『あれ、何?』って異変に気づきます。あと最近はスマートフォンのズーム、指の動きでわかります。『何を撮っているんですか?』って後ろから覗いて声をかけたいくらいです」
選手の肖像を脅かす悪質な行為は、ビーチバレーボールが競技化された当初からあった。しかし、問題視され始めたのは、浅尾が登場してからだ。その時に初めて、会場内では一眼レフなどのカメラによる撮影は禁止。携帯電話からの撮影のみ許可されるというルールができた。
「浅尾さんは会場の外を一人で歩けないくらい人気がありましたよね。かといってファンに対して嫌な顔もできないですから。まだ会場の警備がほとんど整っていない時代だったので、浅尾さんは大変だったと思います」