箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
立教大監督“女子部員との不適切な関係”、選手は「なんとなく知っていた」…監督不在で箱根予選会を通過、それでも口にした「前監督への感謝」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/17 06:02
箱根駅伝予選会を6位で通過し、頭を下げる選手たち。監督の解任から予選通過までを選手たちの証言で振り返る
騒動で動揺する選手もいた
「レースまで時間がない中、あの騒動でもうやるしかないという気持ちになった。みんな、箱根に行きたい気持ちが強かったですし、その目標に向けて一直線に向かっていくことができました。それがチームの団結力につながり、良い結果が生まれたんだと思います」
チームは、全体的に決して好調ではなかった。
夏合宿に故障した選手や調子が上がらない選手がいる中、騒動で動揺する選手もいた。
何のために予選会を走るのか。
選手たちは今一度考えたという。走るのは自分たちだ、箱根に出たいのも自分たちだ。それなら監督がいなくても自分たちの手で掴もうと奮い立った。
SNSでのメッセージとか、応援のパワーをすごく感じました
関口は、大会直前、選手は自分の役割を果たすべく集中していたという。
「予選会を突破するという点においては、どんなアクシデントが起きても変わらない。むしろああいう騒動が起きたからこそ絶対に行ってやろうと自分を含め、みんな、そう思っていました」
意識を共有し、目標達成に向かってチームは前に進んだ。とはいえ、これまで叱咤激励してくれた指揮官がおらず、スタート前、スタートしてからも多少の不安はあったはずだ。そんな選手の背中を押してくれたのが、応援の声だった。
「あの騒動が広がっていく中、僕らを応援してくれるメッセージがすごく多かったんです。予選会に来ても罵声とか誹謗中傷の声は一切、聞こえなかったです。沿道での多くの方の応援や、SNSでのメッセージとか、応援のパワーをすごく感じましたし、それが僕らの力になりました。そのおかげで気持ちよく走れました」
林は、大きな笑みを浮かべて、そう言った。
監督解任騒動が残したもの
レースが終わった後、立教大のテントの前には一際大きな人の輪ができていた。明らかに周囲とは異なる熱量は、あの騒動による不安が広がる中、それを一掃して結果を出すことができた安堵感や高揚感から生じたものだった。プレッシャーから解放された部員や大学関係者、親族らが集まり、みな笑顔で2年連続29回目の箱根駅伝出場を祝っていた。
あの監督解任騒動は、立教大に何を残したのだろうか。