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立教大監督“女子部員との不適切な関係”、選手は「なんとなく知っていた」…監督不在で箱根予選会を通過、それでも口にした「前監督への感謝」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/17 06:02
箱根駅伝予選会を6位で通過し、頭を下げる選手たち。監督の解任から予選通過までを選手たちの証言で振り返る
上野体制の2年目に入学してきた中山凜斗(4年)は、上野前監督の指導者としての手腕は確かなものがあったと思っている。
「ここまでチームを作ってきたのは、間違いなく前監督ですし、自分をここまで育ててくれたのもそうです。この春にはマンツーマンで練習についてくれて調子を取り戻すことができましたし、ここまで来たら卒業するまで指導を受けたかった。それだけに解任になってしまったのは、なんとも言えない気持ちです。残念というか……うーん、悔しいという気持ちが強いですね」
宮澤徹主将も「上野前監督がやったことは許せないですけど、立教が箱根駅伝に出られるレベルまで引き上げてくれた」と、感謝の気持ちを抱いていた。
自らペースメーカーとして選手を先導
上野は、2018年12月に立教大の駅伝監督に就任した。
立教大は、150周年の記念事業として「立教箱根駅伝2024」をスタートさせ、100回大会での箱根出場を目指すために上野を監督に招聘した。1年目こそ学生との距離感や指導について悩むことが多かったが、一緒に走ることで学生の課題を見極め、ペースメーカーとして引っ張ることでタイムを上げていった。
スカウティングも自ら高校に出向き、春は個人種目、夏からは駅伝というサイクルと自主性を重んじる立教のスタイルを熱く伝えた。高校の監督の支持を受け、強豪校が欲する長距離選手だけではなく、中距離ランナーも獲得し、独特のチーム作りを推進していった。
中には誹謗中傷もあった
4年目の昨シーズン、箱根駅伝予選会を6位で通過し、立教大を55年ぶりに箱根駅伝に導いた。今年は、「前回は出ただけ。次はシード権を獲得します」と、100回大会に向けて、さぁこれからという矢先、上野監督は“前監督”になった。