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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
偉大な父・辰吉丈一郎の存在は重荷ではない? 無敗のボクサー・辰吉寿以輝27歳のホンネ「息子じゃなければ『ちゃうやろ』と思いますけど…」
posted2024/05/12 11:11
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi/AFLO
「拳闘ですから」辰吉寿以輝のボクシング観
辰吉寿以輝は5月18日、エディオンアリーナ大阪第2競技場のメインイベント8回戦で、タイの実力者、チャイワット・ブアトクラトックと対戦する。サウスポーとの対戦はキャリア2度目。1度目は負傷ドローに終わっているだけに、プロ50戦のキャリアを誇るチャイワットに勝利して、タイトル挑戦に名乗りを上げたいところだろう。
この試合に向けて寿以輝は4月に2度、東京の帝拳ジムで合宿を行った。家族と離れてボクシングに集中する。大事な試合を控えたボクサーがこうするケースは増えているが、2世ボクサーの考えはまったく違う。早速、“辰吉節”が炸裂した。
「僕的には家族とおったほうが全然集中できる。親もそうだったんで。小さい子がいると、うるさいとか、集中できないとか、まったくないですね(寿以輝は7歳の女児、1歳の男児の父)。そもそも家族が原因で試合に負けるってダサないですか? 親父も『ありえへん』って言うてました。『子どもから風邪うつったら困るって、そんなん気合と運やん』って。『もし風邪ひいたら、ええハンデを相手にあげたと思ったらええやん』って」
寿以輝の考え方、ボクシング観はどこかオールドだ。「ボクシングは殴り合いなのに判定ってピンとこない。拳で闘う、拳闘と書くくらいですから」なんてセリフが27歳の口から出てくるとは思わなかった。
「研究するって、“ビビってる感”が尋常じゃない」
考え方だけではない。たとえば寿以輝はフィジカルトレーニングをほとんどしない。ひと昔前、筋トレを嫌うボクサーは少なからずいたものだが、最近のボクシング界でフィジカルトレーニングは常識となりつつある。