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関田誠大の涙、“苦しい時こそ笑顔”だった山本智大…男子バレー“感動の復活劇”のウラで「TV中継には映らなかった」選手たちの信頼関係の話 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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posted2023/10/10 17:35

関田誠大の涙、“苦しい時こそ笑顔”だった山本智大…男子バレー“感動の復活劇”のウラで「TV中継には映らなかった」選手たちの信頼関係の話<Number Web> photograph by FIVB

スロベニア戦に勝利し、パリ五輪出場を確定させた際の1枚。涙の高橋藍の横で、山本智大はいつも笑顔を絶やさなかった

 もちろん、あの敗戦で諦めた者は誰一人としていないだろうが、取材エリアでも山本はコート上での姿同様に、苦しい時こそ笑顔をと言わんばかりに、しっかりと前を向いていた。

「本当にこれから1試合も負けられない展開が続きますが、まずは目の前の1試合をしっかりと戦いたい。悔しい結果は今日で終わりにして次の試合に向けていいコンディションで迎えられるように。切符を逃したわけではないのでみんなで勝てるように頑張りたい」

 チームを束ねる石川も「プレッシャーもあったと思う。僕らはもう勝つしかない」と顔を上げた。

「我々は常に勝敗から学んでいる」というフィリップ・ブラン監督の言葉にもあったように、エジプト戦翌日にはミーティングで意見をぶつけあった。

「2戦目、エジプトに敗戦してチームが一つにまとまったのは間違いなくあると思う」(石川)

さらに深まった日本代表の「信頼関係」

 あの“1敗”がチームの結束をさらに強くした。

 今の日本代表には、たとえ劣勢に立たされてもそれを覆す力がある。それを改めて感じさせてくれるような見事な復活劇は、強くなった証だと感じる。

「今、15人いますが、他のメンバーも、B代表のチームも含めて日本代表だと思っているので。そういうメンバーの頑張りで、目標である(パリ五輪出場の)切符が獲得できたと思っています」(石川)

 ネーションズリーグでの銅メダル、アジア選手権優勝。“勝利”という最高の結果が彼らに自信を与えていることは間違いない。そしてその自信がパリ五輪出場権につながった。

 それは日々の地道な積み重ね、その過程で結束力や団結力、信頼関係を深めたからにほかならない。パリ五輪まで1年弱。熾烈なメンバー争いを繰り広げるなかで、日本男子バレーはどこまで強く、そしてより魅力的なチームに変貌していくのだろうか――。

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