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まさかの敗戦→快勝…男子バレー“本当の実力”は? イタリア老舗紙のベテラン記者が熱弁「日本は世界の勢力図を変えた」「驚きは175cmのセッター」
posted2023/10/04 11:39
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
FIVB
男子バレーボール日本代表の主将・石川祐希(27歳)が、イタリアでプレーするようになってもう9年になる。
クラブ界の世界最高峰リーグ「セリエA」を擁し、代表チームでも昨年の世界選手権を制した強豪国イタリアで、バレー報道の第一線にあるのが最有力スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』だ。
石川がプレーするミラノに本社を構え、127年の歴史を誇る同紙の現地での評価はいかなるものか。
6〜7月のネーションズリーグでイタリアと2度対戦した日本代表への印象から、パリ五輪の展望とメダル予想まで、バレーの国のベテラン記者ジャンルカ・パジーニ氏に忌憚ない意見を聞いてみた。
「礼儀正しい青年だが、コートでは別人」
――1992年から『ガゼッタ』紙のバレーボール担当と伺っています。これまでに何度か石川選手本人にインタビューされてますね。
初めてイタリアに来た(2014年の)モデナ時代から何度も取材しているが、最初に彼を見た(ミラノ北郊)モンツァでの試合のことは今もよく覚えている。(当時19歳で)まだとても若かったのに年齢に似つかわしくない、素晴らしいゲーム運びをしていて印象に残った。
彼とのインタビューで思い出深いのは、ドゥオーモ大聖堂や(世界有数のサッカースタジアム)サン・シーロ、スフォルツェスコ城といったミラノ市内の歴史的建造物や有名スポットを巡りながら彼のフォトセッションをやったことだね。ミラノでの生活を彼本人に語ってもらう企画だった。とても楽しかったよ。
――彼のイタリア語での取材対応も、もう慣れたものでしょう。ネーションズリーグでは、日本代表の主将としてイタリア・メディアにも積極的に対応していました。
特にここ2年で彼のイタリア語はかなり上達した感があるね。イタリアに来た当初は英語の通訳がついていたようだが、最近は完全にイタリア語で対応してくれるし、この国に馴染んでいるのがよくわかる。
これまで接してきた印象からいえば、ユウキは並外れて礼儀正しい青年だ。ただし、コートの中では人が変わったように断固とした強い精神力を見せるのが興味深い。イタリアでのキャリアは平坦な道のりではなかったはずだ。バレーでも日常生活でも、適応するのにさぞ苦労しただろうと思う。
(2018-19年シーズンに在籍した)シエナは1部に昇格したばかりのクラブで成績が低迷し、辛いシーズンを過ごしたはずだ。だが、そこでセリエAプレーヤーとして生き残るために踏ん張ったことが、今の所属クラブ『パワーバレー・ミラノ』での爆発的パフォーマンスに繋がっていると考えている。