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関田誠大の涙、“苦しい時こそ笑顔”だった山本智大…男子バレー“感動の復活劇”のウラで「TV中継には映らなかった」選手たちの信頼関係の話
posted2023/10/10 17:35
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
FIVB
FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023男子大会最終日のアメリカ戦。日本はフルセットの末に敗れたものの、今大会ベンチからチームを支えてきたメンバーがスタメンに名を連ね、善戦。選手層の厚さを見せた。
この日、チーム2番目となる17得点を挙げた大塚達宣は胸を張る。
「(リザーブの選手は)なかなかコートに立つ機会は少ないけれど、コートに立った時は、自分が求められている役割を果たしたシーズンだった。今シーズンは特に。だからこそ、僕たちリザーブの選手が力をつけることが、スタートから出ているメンバーに刺激を与えることになるし、チームの底上げにもつながる。そういう意味で、今日は今自分ができるすべてを出して頑張ろうと思ったし、これまで自分たちがやってきたことを出せた試合だったと思う」
「失うものは何もないので。みんなで“楽しんでやろう”と言ってコートに入りました」
富田将馬は弾けるような笑顔で…
チーム3位の13得点を挙げた富田将馬の笑顔も弾けた。
第3セットでは23-19の場面でバックアタックを打つと見せかけた高橋藍のフェイクセットからのポイントを決め、喜びを爆発させる瞬間も。
「うれしかったですね。普段はフェイクセットする方なので。藍から上がってきましたけど、東山(高校)で後輩なので、絶対決めなきゃという気持ちで打ちました。得点が決まった瞬間はうれしかったので、抱きつきにいっちゃいました(笑)」
今大会初先発も随所で躍動感あふれるプレーを連発。得点を決めるたびにコートを縦横無尽に駆け回った。緊張感があるなかでも楽しそうにプレーする姿が印象的だった。
「最初は少しかたいところもあったと思うんですけど、2セット目からしっかり修正できた。ここまでの6試合はずっとうずうずしていたので、コートで自分の力を示せたことは嬉しい。日頃やってきたことがしっかり力となって発揮できたんじゃないかと思います」
世界2位の強豪と互角に渡り合い、確かな手応えも掴んだ。ただ、ここからはパリ五輪へ向けた熾烈なメンバー争いがスタートする。
「自分の持っている力を精一杯発揮して頑張りたい」と1年後の大舞台へ思いを馳せていた。