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「藍は『石川祐希になりたい』とは言わなかった」男子バレー“19歳の新星”の急成長に必要だった偉大な先駆者《高橋藍ができるまで#3》 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byYuki Suenaga

posted2023/10/06 11:04

「藍は『石川祐希になりたい』とは言わなかった」男子バレー“19歳の新星”の急成長に必要だった偉大な先駆者《高橋藍ができるまで#3》<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

キャプテン石川祐希を中心とした日本代表で、今や欠かせないプレーヤーに成長した高橋藍(22歳)

「サーブレシーブの面では自信になったんですが、やっぱりアウトサイドでやっている限りは、スパイクも決めないといけない。パイプ攻撃は通用したんですが、前衛でのスパイクが課題でした。世界の高さに慣れていないことが一番の要因だと思うので、その高さを相手に試合を重ねることが必要だと考えて。(石川)祐希さんと対角を組ませてもらう中で、イタリアでやっているからこそできるプレーや、心の余裕が見えて、やっぱり海外でやっている経験の差ってすごく生まれるな、と改めて感じた部分もありましたから」

 その年は12月の全日本インカレに出場した後に、セリエAのパドヴァに合流。既にシーズンの約半分が終了していたため、チームの布陣が固まっており出場機会は限られた。ただでさえ2m級の選手が揃うセリエAで身長188cmの高橋がポジションをつかむことは容易ではない。それでも守備力を買われ、シーズン終盤にはリベロとして出場したが、不完全燃焼だった。

 そこで翌22-23シーズンは、大学の試合には出場せず、セリエAの開幕からフル参戦。ポジション争いに勝利して開幕スタメンをつかみ、シーズンを通して主力として戦った。

攻撃力が増し、ブロックの課題も克服

 成果は今年の日本代表で存分に発揮された。その象徴は相手の2枚ブロックのインナーに突き刺さるパワーあふれるスパイク。コースの幅も、選択肢の多さも、力強さも加わり攻撃力は明らかに増した。6〜7月に行われたネーションズリーグでは、石川に次ぐチーム2番目、全体でも6位の198得点を叩き出し、銅メダル獲得の大きな力となった。

 日本代表の伊藤健士コーチはブロック面での成長も挙げる。

「昨季、海外でシーズンを通してしっかり戦って成長し、経験値がかなり上がった。以前はブロック面で課題がありましたが、セリエAでかなり慣れて、ブロックの高さや手が前に出る角度なども変わったので、今ではあまりウィークポイントにならなくなっています」

【次ページ】 兄を追いかけ、石川祐希を追いかけ

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