「すいません、僕のせいで」202cm高橋健太郎が振り返る“あの苦い交代の記憶”…セッター関田誠大への絶大な信頼と“エゴ封印”ブロック

　初戦からフルセットの接戦が続いたが、ここ2試合は続けてストレート勝ちを収めた日本代表。しかも、前回の対戦相手であるトルコは初戦でセルビアを下し、試合前日にはアメリカと30点を超える攻防を繰り広げるなど、日本にとっては不気味な存在だった。

　試合後の記者会見で、「この試合に得点をつけるなら」と問われたフィリップ・ブラン監督からも笑みがこぼれる。

「1勝であるとはいえ、強豪のトルコを相手に3対0。満点をあげたい。まだ試合は続くが、よりよいバレーボールをするために自信を取り戻し、自分たちのバレーボールが取り戻せたことは評価したい」

　選手たちも同様だ。10月6日からの3連戦に向けて弾みがついただけでなく、ネーションズリーグから積み上げてきた日本のスタイルが攻守両面で発揮された。ミックスゾーンでは口々に喜びと手ごたえを語る中、ひときわ目を輝かせていたのがミドルブロッカーの高橋健太郎だった。

難敵トルコ撃破の立役者となった高橋健太郎。巡ってきたチャンスで見事に結果を残した　©︎Yuki Suenaga

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「1セット目の布石がききました。僕、全然打てていなかったんですけどセキさん（関田誠大）がバンバン上げてくれた。あれがなかったら、もっとサイドやパイプ（後衛中央からのバックアタック）に（ブロックが）ついて来た。ストレートで勝ててよかったです」

「目を見ればわかる」関田への信頼

　実は試合前、関田はミドルの速攻に対して、相手が積極的にブロックでマークしてくると想定していた。なぜなら、前日のアメリカを含む今大会での3試合と、今夏の日本との練習試合で明確なデータが残っていたからだ。

　関田は相手の裏をかく形で「最初はパイプを使おうと思っていた」と話したが、試合が始まるとトルコのディフェンスは日本のトスが上がった後に移動する「リードブロック」を用いてきた。では、どの攻撃が有効か――ミドルを積極的に使えば通る、と判断した関田は前半から積極的にミドルを使い続けた。「あんなにクイックを使うとは自分でも思っていなかった」と振り返ったものの、その上がったトスを高橋は高い打点から打ち抜き、決め続けた。

　咄嗟の判断が奏功した形となったが、高橋は関田に全幅の信頼を寄せている。

「セキさんは、目を見ればわかるんです。普段からコミュニケーションを取っているし、ここで来る、とわかる。だから、決まらない時は僕の気持ちとコンディションが原因。全部、僕の問題で自分次第なんです」

　矢印を自分に向ける理由。振り返るにはまだ日が浅い、苦い記憶があるからだ。

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