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「あんなに弱かったのに…」浦和レッズは最下位続きでもなぜ愛されたのか? 黎明期を知る女性職員・村瀬佳代さんが見つめた“Jリーグ30年史”
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![寺野典子](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
寺野典子Noriko Terano
photograph byMiki Fukano
posted2023/10/10 18:01
![「あんなに弱かったのに…」浦和レッズは最下位続きでもなぜ愛されたのか? 黎明期を知る女性職員・村瀬佳代さんが見つめた“Jリーグ30年史”<Number Web> photograph by Miki Fukano](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/0/700/img_70ea7176483095e208d6c8bf57c0bc3e392883.jpg)
かつて“Jリーグのお荷物”と揶揄された浦和レッズ。Jリーグ開幕前からクラブで働く村瀬佳代さんは、どんな思いで仕事に励んできたのか
「思わず涙が…」国外での活動の意義
――当初は三菱自動車サッカー部のマネージャーだったわけですが、浦和レッズではどのような部署で働いていたのでしょうか?
「強化部に10年くらいいて、その後、育成に4年。スカウトのサポートを担当し、広報も経験しました。総務にもいましたね。そして、ハートフルクラブに4年。そこから総務に戻って、ここ10年ほどは、パートナー本部で部員の業務サポートを行っています」
――さまざまな部署を経験されていますが、やはりトップチームの結果がクラブ職員のモチベーションになるのでしょうか?
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「一概には言えないかもしれません。当然、トップチームの結果は大切ですし、どんな仕事にも成績が影響することはあると思います。でも、たとえばハートフルクラブにいた時代は、拠点がレッズランドにあり、トップチームの試合を見に行く機会もなかなかないので、ほかの部署とはまた違った感じだったように思います」
――ハートフルクラブとは、サッカーを通じて子どもたちの心を育むことを理念に、幼稚園・保育園から小・中学校での活動を行う部署ですね。
「ハートフルクラブは国外でも活動していて、たとえばインドネシアのジャカルタへ行ったときは、経済的に困窮した子どもたちにサッカーをプレーしてもらう機会を作りました。サッカー用の靴を持っていないので、日本人学校の子どもたちが履かなくなったものを使ってもらいました。みんな本当に楽しそうにサッカーをしていましたし、両手で靴を抱きしめるように抱えて帰っていくのを見て……。思わず涙がこぼれそうになりました」
――サッカーが持つ新たな力を感じた瞬間だったのかもしれませんね。
「プロクラブで仕事をするなかで、ファン・サポーターの方の熱量や勝利の喜びを分かち合う瞬間など、サッカーが持つエネルギーに心を動かされたことは何度もありました。でもサッカーは、勝利とか結果だけではない、本当にいろんなものを生み出しているんだなと思います。実際、育成の現場やハートフルクラブでは、子どもたちはもちろん、保護者の方と話す機会も多いんです。いろいろな立場の方とコミュニケーションを深めることは自分にとっても大きな学びとなりましたね」