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「サッカーって面白いの?」「日本でプロなんて」の声も…“三菱時代”から浦和レッズを支える女性職員に聞いた“Jリーグ誕生前夜”の物語

posted2023/10/10 18:00

 
「サッカーって面白いの?」「日本でプロなんて」の声も…“三菱時代”から浦和レッズを支える女性職員に聞いた“Jリーグ誕生前夜”の物語<Number Web> photograph by Miki Fukano

前身の“三菱時代”からクラブを支える浦和レッズの職員・村瀬佳代さんに、Jリーグ誕生前夜のドラマを聞いた

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph by

Miki Fukano

2023年、Jリーグは30周年を迎えた。スタッフの男性比率が高く、「男性社会」と言われることも少なくないサッカークラブの現場で、Jリーグ開幕前から職員として働く女性がいる。浦和レッズの村瀬佳代さんだ。前身の三菱重工、三菱自動車サッカー部時代からクラブを支え続ける村瀬さんに、Jリーグ開幕前夜の「浦和レッズ誕生の裏側」について話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)

◆◆◆

「最低でも3年」からスタートしたキャリア

――Jリーグ開幕前、村瀬さんは三菱自動車サッカー部(三菱重工の関連会社の三菱自動車にチームを移管)のマネージャーをされていたんですよね。

「はい。三菱重工への入社が決まっていたときに、父親の知人である重工の方から『大学のサッカー部でマネージャーをしているんだよね。実は重工サッカー部でマネージャーを探しているんだけど、どうかな』というお話を頂いたんです。重工サッカー部では代々男性と女性のマネージャーが仕事をしていたんですよ。4代目の女性マネージャーの方が結婚を機にやめることになったので、当時の監督だった斉藤和夫さん(現・ジェフ千葉スカウト)が次のマネージャーを探している、と。斉藤さんの上司が、たまたまうちの父と知り合いだったんです」

――ちなみにどちらの大学のサッカー部だったんですか?

「日大です。とはいっても、そんなにチームも強いわけじゃなくて、4、5人の女性マネージャーがわいわいがやがや楽しくやっている、みたいな雰囲気でした」

――そこから日本サッカーリーグ(JSL)の名門サッカー部で仕事をすることになると。

「そうですね。『一度、斉藤監督にお会いしませんか?』ということになったんです。私は千葉の実家に住んでいて、当時サッカー部のグラウンドは調布にあったんですよ。だから監督も『そんな長距離を通うのは大変だから、難しいですよね』『無理しなくていいから』という感じでした。でも、私は『やります!』と。天邪鬼な性格なんですね(笑)。監督は『ありがとう。ならば最低でも3年はやってくださいね』と言ってくださいました」

【次ページ】 「前の席が原博実さん、隣の部署に福田正博さんが…」

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