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JリーグPRESSBACK NUMBER
「あんなに弱かったのに…」浦和レッズは最下位続きでもなぜ愛されたのか? 黎明期を知る女性職員・村瀬佳代さんが見つめた“Jリーグ30年史”
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byMiki Fukano
posted2023/10/10 18:01
かつて“Jリーグのお荷物”と揶揄された浦和レッズ。Jリーグ開幕前からクラブで働く村瀬佳代さんは、どんな思いで仕事に励んできたのか
トップチームだけが浦和レッズじゃない
――今後のJリーグ、そして浦和レッズにはどんな未来を描いてほしいと考えていますか?
「Jリーグは『百年構想』を掲げてスタートしたので、あと70年もあるんですよね。残念ながら、私は最後まで見届けることはできません。ただ、常に思うのは、トップチームだけが浦和レッズじゃないし、育成カテゴリーもあれば、レディースもあるし、ハートフルクラブ以外もサッカー塾という活動もあります。いろんな形でサッカーを中心とした関係が拡がっていけばいいなと思います。今このクラブハウスでは育成チームも活動しているんですが、練習を終えた子どもたちがさいたま新都心駅まで歩いている姿を見ていると、本当に愛らしいし、癒やされるんですよね。そういう子どもたちが未来を創っていくんだと思うと、感慨深いものがあります」
――草の根の活動がしっかりと実を結び、トップチームは今や3回もアジア王者に輝いています。ACLにかぎらず、常にタイトルを意識するほどのクラブとなりました。
「そんなことないですよ。Jリーグでまったく勝てなかったことは今も忘れられないから(笑)。でも、浦和という街からアジアの王者にまで勝ち進めるようになったのは感謝しかないですね。選手もそうですし、もちろんファン・サポーターのみなさんにも」
――サッカーに携わる仕事というものについて、どう感じますか?
「正直、あまり意識したことはないですが、やっぱり好きなんだと思います」
――直接ボールを蹴ったりするわけではないけれど、サッカーが生み出す副産物みたいなものに魅せられているのかもしれませんね。
「そうかもしれません。辞めるのは簡単だと思うけれど、辞めなかった。仕事をさせてくれた会社にも感謝しています。あっという間に30年過ぎちゃいましたから。気がついたら、もう定年が目の前に(笑)」
<前編から続く>