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JリーグPRESSBACK NUMBER
「あんなに弱かったのに…」浦和レッズは最下位続きでもなぜ愛されたのか? 黎明期を知る女性職員・村瀬佳代さんが見つめた“Jリーグ30年史”
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byMiki Fukano
posted2023/10/10 18:01
かつて“Jリーグのお荷物”と揶揄された浦和レッズ。Jリーグ開幕前からクラブで働く村瀬佳代さんは、どんな思いで仕事に励んできたのか
サッカークラブで働くうえで性別は関係ない
――浦和レッズは長く働いている女性職員が多い印象があります。しかもみなさん、いろいろな部署間を異動しながら活躍されている。
「最初、女性は4人くらいだったのかな。今も男性の比率は高いですが、女性も確実に増えていますね。異動をしたスタッフから『こういう世界もあったのか』という感想を聞くことも多く、『いろいろな部署を経験したほうがいいんだよ』という話はしていました。もちろん、誰もがやりたい部署で働いているかといえば、そうじゃないのかもしれません。でも、意に沿わない部署であっても、仕事を始めると『ここをもっと改善したい』『こんなことをやってみたい』とプラス思考になっていく人たちが多いんです」
――女性だからこそ、クラブの力になれる部分というのはあるのでしょうか?
「性別は関係ないと思っています。ただ、女性の同僚を見ていて勉強になることは多いですね。みんなすごくしっかりしていて、仕事への情熱や積極性も高くて、臆せずに意見を言える。年齢に関係なく、誰もが自分の意見を持っているからだと思います。ホームタウンでの活動はもちろん、パートナー企業との関係性を深めることや、企業間の連携など、いろんなアイデアを出している。本当に見習うことばかりで、素晴らしいと感じています」
――Jクラブやスポーツビジネスの現場で働きたいという人も増えてきたと思いますが、まだまだ女性が活躍しづらい現実もあります。そういった若い世代の女性にアドバイスをいただけますか?
「アドバイスというのはおこがましいですが(笑)。ひとつ言えるとすれば、実際にクラブに入っても、『自分が思っていたのと違う』と感じて辞めてしまう人がいます。そういう人には『その部署しか知らなくて辞めるなんてもったいない!』と伝えたいですね。私自身、いろいろな経験をさせてもらって、今ではすごくよかったと思えるので」
――Jリーグが30周年を迎えたわけですが、感慨深いものはあるのでしょうか。
「25周年試合のときにスタジアムでVIPの対応をしていたんですが、そのときにちょっとウルっときた記憶はあります。でも30周年の今は……特にはないんです(笑)。不思議なもので、最初のころのことはすごくよく覚えているんですよ。わからないこと、やったことのないことばかりでしたから」