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「SAGAアリーナでプレーオフをやらせて欲しい」佐賀バルーナーズのヘッドコーチが「クビを覚悟」で県知事に直訴した理由とは?
text by
大橋裕之Hiroyuki Ohashi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/26 17:01
佐賀バルーナーズの角田太輝選手。昨季はルーキーながらポイントガードとして出場を重ね、チームのB2制覇とB1昇格に貢献した
「プレーオフのクォーターファイナルは本来、SAGAアリーナが使えない予定でした。そのため、佐賀県の山口祥義知事とSAGA2024・SSP推進局長に、B1昇格をするためにクォーターファナイルからSAGAアリーナを使わせて欲しいとお願いをしました。直談判ですよね。1度目は社長が、2度目は社長と僕でうかがい、改めて昇格はいましかないという思いを伝えて、知事のご英断をいただきました。グランドオープンより1週間早く使わせていただいたのが、B1昇格の大きな力になりました」
SAGAアリーナ初戦となった福島とのGAME1で、試合早々に選手がエアボールするほど緊張をしていたシーンを例に出し、宮永HCはそんな経験ができたからこそ昇格のかかった西宮戦で「勝負できた」という。客席からは、チームカラーの水色で染まったファン・ブースターの声援が後押し。最終戦は、7532人もの観客が詰めかけた。
「私が就任した当初は、県内の体育館で数百人の観客の中で試合をしました。その前の年はレバンガ北海道で、多くのお客さんがいる前で試合をやらせていただいたので、SAGAアリーナができるタイミングで、たくさんのお客さんに応援いただく環境を、クラブと佐賀県の皆さんに届けたいと思っていました。本当にあの瞬間は、クラブとして良いステップがひとつ踏めた気持ちでした」
そんなバルーナーズが挑む初のB1で、宮永HCは2つの目標を掲げる。ひとつは「B1に値する姿になる」こと。もうひとつは「チャンピオンシップ進出」だという。
B1に値する姿になるために
オフに、昨シーズン平均2ケタ得点を挙げ、B2プレーオフMVPに輝いた西川が大阪エヴェッサへ移籍したものの、目標の実現に心配はしていない。昇格を支えたディフェンスを武器に「プライドを持ってB1でもやっていきたい」と指揮官は意気込む。葛原大智、ヨーリ・チャイルズ、狩野祐介、相原アレクサンダー学の新戦力を迎えて、チームディフェンスのアクティブさが磨かれ、ボールをシェアした連動性の高いオフェンスがより一層、構築できると考えている。帰化選手枠としてエントリーが発表されたジョシュ・ハレルソンも、チームの起爆剤になりそうだ。