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「僕の弟子だね」バスケW杯欠場も…八村塁が過ごした“最高の夏”「できる限りレブロンと」“信頼するコーチ”の一言から始まった夢の特訓
posted2023/10/11 11:03
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
コート上では38歳という年齢を感じさせない高いレベルのプレーを続けるレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)だが、オフコートでは、たまに「やっぱり40近いオジサン」と納得することがある。10月2日、トレーニングキャンプ前のメディアデーで次のコメントを発したときがそうだった。
「彼のことは、僕にとっての『ダニエルさん』と呼んでいる。僕が『ミスター・ミヤギ』だ」
40代以上なら何のことを言っているかわかったかもしれないが、若いファンはこれを聞いてもピンとこなかったのではないだろうか。何しろ、ダニエルとミスター・ミヤギというのは、今から39年前の1984年に公開された映画、『ベスト・キッド(原題The Karate Kid)』の登場人物なのだ。ギャンググループにいじめられていた高校生のダニエルが、日系人で空手の達人のミスター・ミヤギに弟子入りして強くなっていくというストーリーだ。1984年といえばレブロンが生まれた年だが、シリーズ化された人気映画で、シリーズ3作目が公開されたのは1989年だったので、レブロンにとっては子供時代に馴染みがある映画だったのかもしれない。
さて、ここでレブロンが『ダニエルさん』と呼んだのはレイカーズでのチームメイトの八村塁だった。つまり、『ミスター・ミヤギ』ことバスケの達人レブロンが、『ダニエルさん』こと八村を弟子として受け入れ、自分が知っていることを教え込んだというわけだ。
W杯出場を断念…新シーズンを優先
八村はこの夏、NBAシーズンに向けて準備することを最優先とするため、日本代表としてFIBAワールドカップに出場することを断念していたのだが、その夏の間にレブロンに弟子入りし、これまでやったことがないような練習をし、バスケットボール史上最高の選手のひとりから1対1の特訓を受けていたのだ。
「ルイとは夏の間ずっといっしょにワークアウトしていた」とレブロンは明かした。
「彼のことがよくわかってきた。彼の潜在能力や、それを使ってコート上で何ができるのか。個人的なことだけでなく、チームにとってどんなことができるかが見えてきた。彼のことは僕にとっての『ダニエルさん』と呼んでいるんだ。僕が『ミスター・ミヤギ』だ。僕の弟子だね。ほとんど毎日のようにいっしょにワークアウトをした。オフシーズンの間中ずっといっしょにやっていた。彼には、できる限り、そして彼が望むだけグレートになってほしい。彼がチームのためにどんなことができるのか、楽しみだ」