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「イノウエはレナードやタイソンと同格なんだぞ」“中谷潤人の米国人コーチ”が語る井上尚弥30歳「右に回れ!」もし敗者フルトンのセコンドだったら…
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![林壮一](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/-/img_dbce19d94d39497c774c5800b5588c5c1108856.jpg)
林壮一Soichi Hayashi Sr.
photograph byAFLO
posted2023/09/17 17:15
![「イノウエはレナードやタイソンと同格なんだぞ」“中谷潤人の米国人コーチ”が語る井上尚弥30歳「右に回れ!」もし敗者フルトンのセコンドだったら…<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/700/img_15d2a498605981870b85e552297e056f413184.jpg)
スーパーバンタム級の初戦で王者フルトンに圧勝した井上尚弥(30歳)
「『右に回れ』だな。イノウエに対して徹底的に右に回る。そうすれば、あの破壊力満点の右は届かない。繰り返しになるが、フルトンではイノウエのレベルに遠く及ばない。でも、決定的なパンチを貰わなければ、ひょっとしたらどこかでチャンスが訪れたかもしれない。あんな風に下がったら、イノウエの思う壺さ。
ただ逃げているだけの足捌きでは、いずれ捕まってしまうのは目に見えていた。コーチには知恵が必要だ。経験に裏付けされた判断力プラス、発想だよ。それをリングで出すには普段からの研究が欠かせない。
今回、イノウエは序盤から右のパワーパンチを放っていったよね。当たらなくても出した。あれはタイミングを計っていたのさ。上に下にとパンチを散らしながら、最後はドンピシャで当てる。実にスマートな戦い方だ。そして、フォローの左フックも見事だった。でも、フルトンが終始右に回っていたら、イノウエの的から外れることはできたんじゃないかな」
「イノウエはサウスポーをしてもいい…」
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確かに、為す術の無かったフルトンに対して、的確なアドバイスであったように聞こえた。では、もし井上尚弥のコーチを務めるとしたら、どんなアドバイスを送りますか? とも私は質問した。
「接近戦を磨くね」
とルディは即答した。
「イノウエは、いつも距離を取って戦う。それであのパワーパンチをぶち込むんだが、インサイドでの戦い方も身に付ければ、更に幅が広がるだろう。また、サウスポーにスイッチする局面があったっていい。あれだけのセンスの持ち主なんだから、なんだってマスターできるよ。何たって、スペシャルな戦士だからね。
リングにおける彼の精神的安定も、特筆すべき点だ。私の弟は優秀なファイターだったが、感情の起伏が激しかった。当初は父がトレーナーであり、マネージャーだったが、試合中に怒鳴り合っていたよ。そんな状態じゃ、世界王座は目指せないだろう。だから、私がトレーナーになって、弟をコントロールしたんだ。心が落ち着かなければ、ファイトなんて出来ないさ。イノウエはいつも冷静だよね。これからも、思う存分にパウンド・フォー・パウンドぶりを見せてほしいな」
ルディの口調には、井上尚弥への大いなる期待が込められていた。彼は結んだ。
「ジュント(中谷潤人)にとって、最高のお手本だ。イノウエが前を走っていることの幸せを感じ、いつも我々は“モンスター”に感謝しているんだ」
<《「井上尚弥を追う日本人ボクサー」“25戦無敗”王者…中谷潤人25歳とは何者なのか? 》から続く>
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