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“ドーピング陽性”木村ミノルへの処分は適切なのか? UFCではミルコやアリスターも…根深い禁止薬物問題の本質「パンチ力が2倍、3倍に」

posted2023/09/08 17:02

 
“ドーピング陽性”木村ミノルへの処分は適切なのか? UFCではミルコやアリスターも…根深い禁止薬物問題の本質「パンチ力が2倍、3倍に」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

以前から疑惑の目を向けられていた木村“フィリップ”ミノル。ドーピング陽性を受けて、『RIZIN.43』のロクク・ダリ戦は無効試合となった

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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RIZIN FF Susumu Nagao

格闘技界を揺るがす木村“フィリップ”ミノルのドーピング陽性問題。なぜ木村はドーピングに手を染めてしまったのか。本人に課されたペナルティは適切だったのか。そして「アンチ・ドーピング」の理念は、選手や関係者の間で十分に共有されているのか。プロ格闘技とアマチュアスポーツを長年取材してきた筆者が、問題を多角的に検証する。(全2回の2回目/前編へ)

他団体の“後追い裁定”をどう考えるべきか

 木村“フィリップ”ミノルの陽性発覚によるドーピング問題が世間を賑わしている。選手たちの受け止め方は十人十色ながら、少なくともSNSで自分の考えを発信している大半の選手は「あってはいけないこと」と捉えているようだ。

 去る8月26日、RISEでの引退試合で現役王者のチャンヒョン・リーをフルマークの判定で破るという有終の美を飾ったキックボクサーの秀樹は、自身のSNSに以下のように書き込んだ。

「フェアじゃなくして勝って心から嬉しいんか?自分だけでなく、相手にも危険が大きい行為を簡単に許されて良いんか?バレなかったラッキーって簡単な話じゃないと思う」(原文ママ)

 今後はアンチ・ドーピングの講習会を開くなど、選手たちにモラルを徹底的に叩き込む啓蒙活動も必要になってくるだろう。

 すでにWADA(世界アンチ・ドーピング機構)やJADA(日本アンチ・ドーピング機構)のホームページを熟読したり、ドクターやスポーツファーマシスト(アスリートが体調を崩したり、ケガをした場合などに使用する薬、あるいは摂取するプロテインなどのサプリメントに禁止物質が含まれていないかを相談できる薬剤師)の話を聞いて情報をインプットしている者もいるかもしれない。

 ただ、残念ながら、そうした向きはまだ少数派にすぎないように思えてならない。それは選手だけではなく、関係者にもいえることだ。RIZINが木村に半年間の出場停止の処分を下し、彼がWADAでは禁止物質とされる「クレンブテロール」を摂取したうえで闘ったことを受け、他団体も処分に動いている。

 昨年12月28日の『INOKI BOM-BA-YE × 巌流島』を主催した巌流島の谷川貞治プロデューサーは「RIZIN同様、半年間の出場停止処分を下す」と話し、その後正式にリリースした。同大会で木村はRIZINファイターの矢地祐介とキックとMMAのミックスルールで闘い、1ラウンドに左フックでKO勝ちを収めたが、この一戦は無効試合となる。また今年3月5日に木村がクンタップ・チャロンチャイとキックルールで闘う舞台となったKNOCK OUTも、同試合をノーコンテストにすると発表した。

【次ページ】 アマチュアスポーツと比べて軽すぎるペナルティ

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