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“ドーピング陽性”木村ミノルへの処分は適切なのか? UFCではミルコやアリスターも…根深い禁止薬物問題の本質「パンチ力が2倍、3倍に」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/09/08 17:02

“ドーピング陽性”木村ミノルへの処分は適切なのか? UFCではミルコやアリスターも…根深い禁止薬物問題の本質「パンチ力が2倍、3倍に」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

以前から疑惑の目を向けられていた木村“フィリップ”ミノル。ドーピング陽性を受けて、『RIZIN.43』のロクク・ダリ戦は無効試合となった

UFCではミルコやアリスターも陽性に

 一方、UFCでは2015年7月から米国アンチ・ドーピング機構(USADA)と提携し、世界各国の契約選手に年間を通して抜き打ち検査を行い、徹底したアンチ・ドーピングポリシーを貫いている。ゆえに、陽性判定を受けた選手は枚挙にいとまがない。かつてPRIDEやK-1で活躍したミルコ・クロコップは、2015年11月にUSADAから2年間の出場停止処分を受けた。ミルコは肩のケガを早く治すための使用と弁解したが、USADAはクロアチアでの抜き打ち検査で彼が禁止物質のヒト成長ホルモンを使用したことを見逃さなかった。

 他の選手から「絶対にステロイドを使っている」と指摘されることが多かったアリスター・オーフレイムの場合、2012年5月にジュニオール・ドス・サントスが保持していたUFC世界ヘビー級王座に挑戦する予定だったが、抜き打ち検査で規定値のほぼ2倍という高い比率のテストステロンが検出されたために挑戦権を剥奪された。

 先日、アリスターは現役引退を表明したが、当時の身体付きと比べると、まるで別人のように痩せ細っている。

「パンチ力が2倍、3倍にもなる」

 では、プロボクシングの場合はどうなのか。今年4月、元WBA・IBF世界スーパーライト級王者アミール・カーンは、英国のアンチ・ドーピング機関(UKAD)の検査で運動能力向上の効果がある禁止薬物「オスタリン」の陽性反応を示したため、2年間のボクシング活動禁止処分を言い渡された。すでにカーンは引退を表明しているうえ、故意にオスタリンを摂取したわけではないという主張が認められているにもかかわらず、処分を受けた格好だ。

 国内では今年6月、ジョシュア・フランコとの再戦を直前に控えた世界4階級制覇王者・井岡一翔から禁止薬物の大麻成分が検出され、衝撃が走った。検出量はごく微量でWADAが定めた基準値を下回ったため、試合は予定通りに行なわれた。また2020年大晦日の世界戦のために受けたドーピング検査でも井岡からは大麻の成分が検出されたが、このときは日本ボクシングコミッションの検査に不備があったとして処分を受けることはなかった。

 これから日本格闘技界のドーピング問題はどうなるのか。K-1時代から木村に疑惑の目を向けていた城戸康裕は、「ドーピングは筋繊維の構造が変わり、パンチ力が2倍、3倍にもなる」と警鐘を鳴らす。

 その一方で、今回RIZINが木村のドーピング陽性を公表したことを評価した。

「今の芸能界で起きている問題もそうだけど、誰かが声をあげないと何も変わらない。今日のRIZINの会見で、今後の格闘技界が大きく変わってくれて、格闘技がより崇高なスポーツになることを願っています」

 薬によってサイボーグ化したファイターを品評する時代は終わった。日本の格闘技界にも、変革のときが訪れたと祈りたい。

<前編から続く>

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「筋肉増強剤に該当する成分が複数確認された」木村ミノルはなぜドーピングに手を染めたのか…格闘技界を揺るがす“禁止薬物問題”を検証

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