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慶応優勝の一方で、早稲田実業は今夏コールド負け…全員“丸刈り”の早実、慶応はオール4でも推薦入学できず、高校野球の「早慶」を比較してみた 

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内田勝治

内田勝治Katsuharu Uchida

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photograph byHideki Sugiyama(L)/Naoya Sanuki(R)

posted2023/09/01 11:02

慶応優勝の一方で、早稲田実業は今夏コールド負け…全員“丸刈り”の早実、慶応はオール4でも推薦入学できず、高校野球の「早慶」を比較してみた<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama(L)/Naoya Sanuki(R)

清宮幸太郎(左)が在籍していた時の甲子園出場を最後に甲子園から遠ざかっている早稲田実業。慶応との直近5年間を比較してみると…

「質実剛健」を掲げる早実は全員が丸刈り

 環境面を見ていくと、ともに野球部専用の寮はないため、遠方出身者は家族で引っ越したり、学生寮に入ったり、一人暮らしをしている。入学後も勉学を怠れば留年するケースもあるため、通学の電車の中で参考書を広げ、時間を有効活用している選手も多い。

 野球部の雰囲気は対照的と言っていい。「質実剛健」を掲げる早実は全員が丸刈り。62人の部員を、1992年から指揮を執る和泉実監督がほぼ一人で指導している。慶応は上田誠前監督の「エンジョイ・ベースボール」を、2015年に就任した森林貴彦監督が継承。今夏の甲子園では「『もりばやし』が足りない!」の応援の下、長髪をなびかせて躍動する選手たちが印象的だった。部員も106人と大所帯のため、OBの大学生が「学生コーチ」として部を支える伝統がある。

明治大前監督の息子も慶応高に

 どちらの校風も伝統と魅力があるため、自分の子供を入学させたい親も多い。それはプロ野球選手も例外ではない。早実には慶大OB・山本省吾氏(ソフトバンクスカウト)の長男・蒼空(3年)、今江敏晃氏(楽天コーチ)の長男・陸斗(3年)、慶応には清原和博氏(野球評論家)の次男・勝児(3年)や、かつては前田智徳氏(野球評論家)の次男・晃宏(慶大2年)が在籍。一方で立教大OB・広池浩司氏(西武球団本部副本部長兼1軍ディレクター)を父に持つ浩成(現慶大1年)や、明治大前監督の善波達也氏の長男・力(現慶大4年)のように、六大学の垣根を越えて入学する選手が散見されるのが近年の慶応高校の特徴である。

 早稲田大学は公式SNS上で慶応の優勝を称えた上で「今大会は若き血の凄まじい威力を拝見しましたが神宮球場では紺碧の空の破壊力もお見せしたいと思います」と、東京六大学リーグ戦での“リベンジ”を誓い「#いつかは甲子園で早慶戦」とハッシュタグを添えた。近い将来、「紺碧の空」と「若き血」が聖地を二分する日がくるのだろうか。実現すれば、ファンにとってはこの上ない楽しみとなる。

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