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慶応優勝の一方で、早稲田実業は今夏コールド負け…全員“丸刈り”の早実、慶応はオール4でも推薦入学できず、高校野球の「早慶」を比較してみた 

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内田勝治

内田勝治Katsuharu Uchida

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photograph byHideki Sugiyama(L)/Naoya Sanuki(R)

posted2023/09/01 11:02

慶応優勝の一方で、早稲田実業は今夏コールド負け…全員“丸刈り”の早実、慶応はオール4でも推薦入学できず、高校野球の「早慶」を比較してみた<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama(L)/Naoya Sanuki(R)

清宮幸太郎(左)が在籍していた時の甲子園出場を最後に甲子園から遠ざかっている早稲田実業。慶応との直近5年間を比較してみると…

世田谷西→早慶が今年のベンチ入りだけで8人

 春夏甲子園出場の慶応に対して、昨秋の東京都大会3回戦負け、今夏の西東京大会では準々決勝で日大鶴ケ丘にコールド負けと、この1年では差をつけられた早実。しかし、昨夏までは慶応と戦績では大きな差はなく、“東京の壁”を打ち破れば、今回の慶応同様、一気に甲子園で熱狂を呼ぶ活躍をするポテンシャルを秘めている。

 今年のメンバーを見ていくと両校ともにこの5年で共通しているのは、中学硬式野球の強豪「世田谷西リトルシニア」出身の選手が在籍し、メンバー入りしていることだ。

 今年に限っては早実3人(白畑優吾、藤澤佑真、内囿光太)、慶応5人(延末藍太、福井直睦、松井喜一、清原勝児、足立然)と合計8人もいた。

 慶応は1962年夏を最後に長らく聖地から遠ざかり、神奈川では古豪扱いだったが、1990年代に推薦制度を導入したことが実を結び、2005年センバツで久々に甲子園に出場。さらに2008年センバツから3季連続、2018年も春夏連続で出場したことで野球部の知名度も徐々にアップし、世田谷西のような強豪チームからの入学希望者も増えたことで横浜や東海大相模と対等に渡り合えるまでになった。

入学する難しさ

 両校ともその知名度と、ほぼ100%が早稲田大、慶応大に進学できるとあって、入学希望者は北海道から沖縄まで全国に及ぶ。ただ、それぞれ推薦枠40人程度で、野球部枠は10人前後と狭き門だ。

 2024年度の出願資格もハードルが高く、内申点は早実が「中学第1学年と第2学年の学年評定および2023年12月末現在の第3学年の全必修教科の評定(5段階評価)の合計が、94(平均3.5)以上で、かつ評定1を含まない者」、慶応が「中学3年次の9教科の成績合計が5段階評価で38以上である者」。慶応は全教科オール4(合計36)でも出願資格を満たすことができない。勉学のみならず、部活や学業以外の活動でも全国クラスの活躍が求められる。学力テストこそないが、面接、作文もしっかり対策した上で受験に臨まなければ、野球部が望んでいる選手であっても、不合格となるケースは少なくない。

【次ページ】 「質実剛健」を掲げる早実は全員が丸刈り

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