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「女子マネがなければ分析担当」「ユニ着用でノック補助」甲子園取材で目撃…“女子部員の立ち位置”「高校野球の当たり前が変わるきっかけに」

posted2023/09/01 11:01

 
「女子マネがなければ分析担当」「ユニ着用でノック補助」甲子園取材で目撃…“女子部員の立ち位置”「高校野球の当たり前が変わるきっかけに」<Number Web> photograph by JMPA

野球に取り組む若者が憧れる甲子園。そこで見た“高校野球の常識”を変える流れとは

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間淳

間淳Jun Aida

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 第105回夏の甲子園は慶応義塾高校の優勝を含めて、様々な“新たな野球部のカタチ”が見えた大会となった。その象徴である慶応・丸田湊斗、そして女子部員のかかわり方について振り返る《全2回の2回目/慶応・丸田編からつづく》

 夏の甲子園は慶応が107年ぶりに頂点に立った。勝ち上がるにつれて注目度が高まった理由には、「高校野球の常識を覆す」チーム方針があった。自主性や多様性を重視した指導でチームを日本一に導いた森林貴彦監督は、お立ち台で高校野球への願いを口にした。

「高校野球の新たな可能性や多様性を示せれば良いなと思って日本一を目指し、常識を覆すという目的に向けて頑張ってきました。今回の優勝から何か新しいものが生まれてくるのであれば本当にうれしく思いますし、うちの優勝だけではなくて高校野球の新しい姿につながる勝利だったと思います」

データ収集・分析を担った履正社の1年生

 高校野球の常識は時に、社会の非常識に映る。時代の変化とともに疑問が投げかけられても、明確な理由が示されず“常識”として続いてきた慣習もある。ただ、速度は遅いかもしれないが、高校野球の当たり前は見直されてきている。女子部員の役割も、そのひとつと言える。

 いまや高校野球でも常識となっているデータ収集や分析の役割を女子部員が担っていたのが、宿敵・大阪桐蔭を破って甲子園に出場した履正社だ。アナライザーの肩書きで、女子部員2人が対戦相手の分析やデータ資料の作成をしている。

 履正社初のアナライザーを務めるのは、ともに1年生の吉田空愛さんと森本萌月さん。履正社には、2人が希望していたマネージャーはいない。昨年のオープンスクールで野球部をサポートしたい思いを間接的に多田晃監督に伝えたが、前向きな返事は得られなかった。

4番・森田「配球の傾向を聞いて、打席で活用しました」

 転機は入学後に訪れた。マネージャーへの思いを断ち切れなかった2人は、その気持ちを多田監督に直接伝えた。その頃、指揮官は野球部初のアナライザーを募集していた。帰宅時間が遅くなることなどから男子部員の採用を想定していたが、希望者がいなかったため2人に任せることにした。

 吉田さんは小学生の時に野球を経験し、森本さんは中学でソフトボール部に入っていた。ともに、野球の基本的な知識がある。相手チームの分析では、試合映像から配球の傾向や打者の特徴を把握し、対策を練り上げていく。甲子園切符をかけた大阪大会決勝の前日には、大阪桐蔭の映像を10時間も見ていたという。

 今夏の甲子園で2本の本塁打を放つなど、4番としてチームをけん引した森田大翔選手はこのように話す。

【次ページ】 「ここが勝負やぞ!」と後押しするマネージャー

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