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「まったく歯がたたず全敗」日本男子バスケが打ちのめされた日…折茂武彦、佐古賢一が明かす「心が折れてしまった」世界との圧倒的な差とは
text by
小永吉陽子Yoko Konagayoshi
photograph byAFLO
posted2023/09/01 06:01
2006年世界選手権の日本代表には折茂武彦、網野友雄を始め、五十嵐圭、竹内兄弟などそうそうたる顔ぶれが揃った
出場枠が32カ国に拡大し、開催地枠を含めてアジアに8枠も与えられる現状からすれば、当時の自力出場は快挙だといえよう。だが当時は、檜舞台である世界選手権に挑む前に「心が折れてしまった」と佐古が振り返る。
「アテネで開催された世界選手権の前に、約2週間のヨーロッパ遠征でドサ回りをしたんです。高さもフィジカルもまったく歯がたたずに全敗。本番を前に圧倒的な差を感じて打ちのめされてしまいました」
31年ぶりの出場ともなれば初出場も同然。順位決定戦でセネガルに1勝したものの16チーム中14位で終わる。ただ、世界に出たからこそわかったこともある。一番足りないと痛感させられたのは意外にも「情報量」だったと佐古は証言する。
「我々が知り得た情報は、本番1年前のビデオ1本だけ」
「体格やフィジカルの差というものは、勝てないにしても、戦っていくうちにだんだん慣れてくるものなんです。ただ、我々は圧倒的に情報量が足りなかった。世界選手権では運が悪いことに優勝したユーゴスラビアと2位のロシアと同グループだったのですが、どんな国なのかまったくわからないまま大会に臨みました。
当時はインターネットが普及し始めた頃で詳しい情報がなく、我々が知り得た情報は、本番より1年も前のヨーロッパ予選のビデオ1本だけ。選手の強みも弱みもよくわからないまま試合をしなければならなかったので、ゲームの入りが受け身になってしまいました。経験も実力もない国が最初からエンジン全開で臨めない。これは大きなハンデでした」
世界の舞台に出て初めてフィジカルの違いや準備不足を痛感し、そもそも、戦う土俵にすら立っていなかったことに気付く。
だからこそ、この世代は次なる目標として'00年のシドニー五輪出場を目指した。
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