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ノーヒットノーランはさせたいが「投手の健康+チームの勝利」優先? 石川柊太、佐々木朗希、柳裕也…今ドキの“大記録と監督の葛藤” 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/08/22 11:06

ノーヒットノーランはさせたいが「投手の健康+チームの勝利」優先? 石川柊太、佐々木朗希、柳裕也…今ドキの“大記録と監督の葛藤”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ノーヒットノーランを達成したソフトバンクの石川柊太

 中には体調に異常をきたした投手もいるが、余力を残して降板した例もある。点差が拮抗していて、先発が好投しているものの疲れの兆候が見えるようなときは、無安打でも救援投手を送る例が出てきている。

 なお、8月13日の中日・柳裕也は9回を投げ抜いた時点でノーヒットノーランだったが味方も点を取らなかったため降板、勝ち星もつかなかった。これは、2014年5月31日のオリックス金子千尋以来。それ以前にさかのぼっても、2006年4月15日の日本ハム八木智哉(延長10回まで投げる)の例があるだけ。史上3人目だ。

ノーノー自体は大記録だが、球数がかさむという側面

 近年、NPBの投手マネジメントは「継投」を前提としている。多くの球団ではエースであっても常時「完投」することは期待していない。QS(6回以上投げて自責点3以下)、あるいはHQS(7回以上投げて自責点2以下)が目標であって、そのあとはセットアッパーやクローザーにつなぐのが定石である。

 ノーヒットノーラン自体は喜ばしい大記録だが、そのために先発投手の球数がかさんだり力投しすぎたりして、次回以降の投球に影響が出るのは、回避したいところなのだ。

 無安打のままで終盤まできた先発投手が、初安打を打たれたときには、球場は何とも言えないため息に包まれる。その中には「これで降板させることができる」という味方ベンチの「安堵のため息」も含まれているのかもしれない。

佐々木朗希の降板と、戸郷の140球以上と

 ノーヒットノーランを重要視しなくなったのは「先発投手は完投すべし」という「昭和の野球観」が、大きく変化しつつある象徴でもあろう。

 その最たる例が、2022年4月17日の日本ハム戦での佐々木朗希だ。

 佐々木は前回登板の4月10日のオリックス戦で史上16回目の完全試合を達成。その次の登板で、8回までパーフェクトを記録した。

 2試合連続完全試合となると、NPBはおろか、約150年の歴史を誇るMLBでも例がない。今後も出ることはないと思われる空前絶後の記録だったが、当時のロッテ井口資仁監督は、8回102球で佐々木を降板させた。

 当時まだ20歳5カ月の不世出の大投手の持てる才能を、ここで浪費することに危惧の念を抱いたのだろう。

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