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葛西純「新日本プロレスでこんなのアリ?」有刺鉄線、竹串、大流血…エル・デスペラードの“超刺激デスマッチ”でカメラマンが目にした熱狂 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2023/07/09 17:00

葛西純「新日本プロレスでこんなのアリ?」有刺鉄線、竹串、大流血…エル・デスペラードの“超刺激デスマッチ”でカメラマンが目にした熱狂<Number Web> photograph by Masashi Hara

7月5日の後楽園ホール。ジョン・モクスリーとのシングルマッチで、凶器のチーズスライサーを手にするエル・デスペラード

 モクスリーとの再遭遇が通常ルールに収まるわけがないのは明らかだった。しかも、葛西との初タッグ結成だ。モクスリーの“最凶の相棒”ホミサイドにしても、後楽園ホールのバルコニーからダイブしたこともあれば、葛西を突き落したこともある危険人物であり、愛称はノートリアス187。「187」は殺人を意味する数字として知られている。

 さらに5日には、モクスリーとのシングルマッチが決定。デスペラードとモクスリーが、2日続けて大会のメインイベントでぶつかることになった。

「新日本プロレスにデスマッチ部門は不要」

 一方で、デスペラードは「新日本プロレスにデスマッチ部門は不要」という考えもはっきりと示していた。「僕自身好きで憧れてリスペクトしているからこそ、『見せられて嫌だった』という声を聞きたくない」とTwitterに思いを綴ったこともある。また、デスマッチは通常の試合とは勝手が違いすぎるため、レフェリーやセコンドをはじめ、デスマッチのプロフェッショナルが揃った状況でなければ絶対に行うべきではない、とも付け加えていた。

 新日本のリングではなく『NJPW STRONG』のリングであれば不問にできる、というわけでもなかった。自身を追うファンや葛西のデスマッチを楽しみに来場するファンがメイン層だった試合とは異なり、STRONGの日本初上陸は、「新日本を追うファン」の関心が高いものだったからだ。

 2020年8月、コロナ禍のなかでスタートを切ったアメリカの新日本マット『NJPW STRONG』(同年7月は『LION'S BREAK COLLISION』)は当初、LA道場勢+アメリカ在住の新日本の選手たちによる無観客試合が60分番組として配信される……というのが主な内容だった。だが、回を重ねていくにつれて登場する選手数が増加。アメリカでフリーとして活動する選手にとって、定期的に試合が行われるニュージャパンのリングがアメリカにある、というのは大きな魅力だった。

 新日本を見ている日本のファンにとって馴染みのある選手ばかりというわけではなかったが、知っている選手たちが対戦相手やチームメイトとして混ざることで、視聴者は少しずつキャラクターを掴んでいく。徐々にトム・ローラーが率いるチーム・フィルシーをはじめとしたSTRONG発のムーブメントを楽しむようになり、さらに選手の渡航が可能になって以降は日米のリングの並行化が進んだことで、STRONGは日本国内の新日本を追うファンにとっても要チェックの存在になった。

【次ページ】 聖地・後楽園ホールは「大熱狂の2日間」に

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