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「30キロ以上重い」ナイチンゲールと名勝負を繰り広げ…ジュリアが奪取した“新日本プロレスのベルト”の価値「世界中の挑戦者と戦ってやる」
posted2023/07/14 17:03
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Masashi Hara
7月9日、ジュリアは後楽園ホールで新日本プロレスの“2本目の女子ベルト”をスターダムのファンに披露した。
「ジュリアがSTRONGのベルト取ってきました。イエーイ! いっぱい防衛戦やりたいから、日本中、いや、世界中の挑戦者、誰でもいいよ。誰とでも戦ってやるよ。ただし、強いヤツのみで。挑戦者待ってます」
「大きくて動ける」ウィロー・ナイチンゲールの魅力
その4日前の7月5日、同じく後楽園ホール。新日本プロレスのアメリカ版『NJPW STRONG』が日本に逆上陸した2日目は、ジョン・モクスリーとエル・デスペラードのデスマッチが話題を呼んだが、ジュリアが初代STRONG女子王者ウィロー・ナイチンゲールに挑んだ試合も評判がよかった。
「ウィロー・ナイチンゲールは、何もかもが私と違う。生まれも、育ちも、体格も、ファイトスタイルも、リング上でのニヤついた笑顔も……。『コイツとはやりづれえな』とか『どうなるんだろう』って思った。でも、1対1のシングルマッチ、このSTRONGのベルトがあったからこそ、語り合えた私たちだけのプロレス。そんなもの(感慨)があったな」
ジュリアはナイチンゲールにちょっと嫉妬したようにそう言った。ジュリアが感じたように、ナイチンゲールのプロレスは日本のファンの心にも響いたようだ。ナイチンゲールは80キロ台とのことだが、体格を見るかぎり90キロ以上はあるようにみえる。55キロのジュリアとは30キロ以上も違うだろう。だが、動ける。
1980年代、全女のリングでジャガー横田らを相手に激しい試合を見せたモンスター・リッパーを思い出してしまった。一方で、ナイチンゲールの笑顔にはまた別の魅力があり、女性ファンからは「かわいい」という声もあがった。
大きくて、強くて、笑顔はキュート。これが、ナイチンゲールが愛される理由なのだろう。
29歳のナイチンゲールは5月にメルセデス・モネを破って初代STRONG女子王者になったわけだが、モネの華やかさや細さとは対照的だった。
ナイチンゲールの笑顔と巨体にジュリアは戸惑った。巻き投げに行ったところを押しつぶされた。「やりにくい」とも言っていたが、なかなかどうして、しっかりとした戦いを見せてくれた。