酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
バース、ローズ、カブレラ級の“威圧感スゴすぎ助っ人”と今の外国人打者成績を比べると…球団の評価も「仲間」として見守るように?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKiichi Matsumoto/Kazuaki Nishiyama
posted2023/07/04 11:01
巨人のウォーカーは人気者ながら代打の切り札的な起用が多い。近鉄などで豪打を誇ったローズらの時代とは変わってきたのかもしれない
◇広島
マクブルーム31歳 54試186打40安5本27点1盗 率.215 OPS.648
デビッドソン32歳 53試178打35安8本20点0盗 率.197 OPS.638
2年目のライアン・マクブルームは成績が下がっている。新外国人のマット・デビッドソンはときどき大きな本塁打を打つが、確実性に乏しい。
◇中日
ビシエド34歳 39試141打32安2本7点0盗 率.227 OPS.581
カリステ31歳 14試36打5安0本1点0盗 率.139 OPS.351
アキーノ29歳 20試65打10安1本6点0盗 率.154 OPS.438
アルモンテ34歳 28試53打10安1本2点0盗 率.189 OPS.468
ダヤン・ビシエドは現役随一の実績を誇る外国人選手。今季順調にいけばFA権を取得し、外国人枠を外れる可能性があったが、例年と比べると寂しい成績となっている。こういう選手はレギュラーで使ってこそ実力を発揮するが、立浪和義監督はビシエドをスポット的な起用にとどめている。
オルランド・カリステ、アリスティデス・アキーノの両新外国人は全くの不振で5月初旬に登録抹消された。3年ぶり復帰のソイロ・アルモンテは2018年に3割を打っているが、彼も数字が上がらず登録抹消されている。
以前は“手がつけられないほど暴れる”打者がいたが
このように現状の12球団外国人打者の成績を見てきたが――これまではランディ・バース、タフィ・ローズからアレックス・カブレラ、アレックス・ラミレスまで、NPBでは「手の付けられないほど暴れる」外国人打者が数多くいた。それがプロ野球の魅力でもあったが、近年の外国人打者は「小型化」した印象が強い。
一方で、まだ防御率0.00と圧倒的なクローザーの中日ライデル・マルティネス、同じくソフトバンクでクローザーを務めるロベルト・オスナ、セットアッパーでは広島のニック・ターリー、ロッテのルイス・ぺルドモなど、外国人投手の活躍が増えている。サイ・ヤング賞投手のDeNAトレバー・バウアーも実力を発揮し始めている。
よくNPBは、MLBのAAAA(マイナー最上位のAAAの上)と言われることがあったが、単純な上下関係ではなくなったのではないかと推察される。WBCで日本がアメリカを破ったことも、それを物語っている。それだけNPBの実力がMLBに近づいたとの見方もできようが、ここ10年MLBでは「フライボール革命」など野球そのものが激変し、NPBとは別物になった側面もあるのだろう。