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「三笘薫と久保建英は10点満点で9点」気鋭の解説者・林陵平が“覚醒の1年“振り返り「三笘はビニシウスになれ」「久保は真ん中でより輝く」
posted2023/06/16 11:04
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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Kiichi Matsumoto/JMPA
今季のサッカー界で大きなトピックになったのは、今やプレミアリーグを代表するウインガーに成長した三笘薫と、新天地レアル・ソシエダでの躍進の中心にいた久保建英だろう。
「2人ともMVP級のシーズンだったと思います」
東大ア式蹴球部を率いる傍らで、解説者として2人の中継を多く担当した林陵平氏もそれぞれの躍進に目を細めていた。
「1年間の出来を10点満点で評価するとしたら、ともに『9点』としても言い過ぎじゃないと思います。個人として数字をしっかり残したことはもちろん、チームを引き上げた存在となったことをちゃんと評価しないといけません」
林氏が言うように、プレミアリーグ“定着”を目指した三笘擁するブライトンはクラブ史上最高の6位でEL出場権を獲得。久保のソシエダは、バルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーに次ぐ4位に入り、来季はCLに出場する。そんな上向きのクラブの中で、三笘と久保は躍進の象徴となった。
三笘の飛躍につながる“2つの転機”
林氏はまず、三笘の1年間を丁寧に振り返った。
「大きなポイントとしては、シーズン序盤に引き抜かれたポッター(今季途中にチェルシーの監督を退任)に代わって、指揮官にデゼルビがやってきたこと。そして、そのデゼルビのサッカーが三笘をより活かすシステムだったこと。改めてこの2点は、三笘にとってプラスに働いたと思います」
リーグ序盤戦のブライトンは主に3-4-2-1を採用。三笘は開幕当初から光るプレーを見せていたが、上下動が求められるウイングバックでの起用が多く、後にアーセナルに移籍するトロサールの控えという立ち位置でもあった。だがデゼルビは、14節のチェルシー戦からこれまで自身が採用してきた4-2-3-1へと徐々にシフト。三笘は本職である左ウイングに定着したことで、新生ブライトンのキーマンとしての階段を登っていく。
「(デゼルビが来てから)仕事が明確になりましたよね。それに、前回のコラムでも言いましたが、三笘はドリブルを仕掛けるだけでなく、ストップしたり、時には味方を使ったりと、プレー選択の幅が広く、頭の良さが感じられるウインガー。川崎時代からその特徴は変わらないですが、プレミアリーグを経験したことでさらに磨かれたと思う。スコア、時間帯、ボールを保持するか、攻めるかなど、考えることはいっぱいあるはずなんですけど、どんな状況においてもほぼ判断を間違えなくなった」
そんな判断の質の向上が、チームメイトの信頼につながっていく。