欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「三笘薫と久保建英は10点満点で9点」気鋭の解説者・林陵平が“覚醒の1年“振り返り「三笘はビニシウスになれ」「久保は真ん中でより輝く」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/06/16 11:04
ブライトン、ソシエダで充実の1年を送った三笘薫と久保建英。日本代表でもクラブでのような輝きを見せられるか
「(開幕戦で)4-4-2の2トップ、中央寄りの位置でプレーできたことが大きかったと思うんですよね。ソシエダで幅を使う選手はSBしかいなかったので、必然的に久保は中央から外に流れてボールを受けることが多かった。外に張ってから前を向くのが得意な三笘に対し、久保は中にいた方が輝ける。DFと中盤のライン間でボールを受けるプレーもうまいし、ダメならそこから流れてボールを引き出すという動きが性に合っていたと思います。それでいて、トップ下にはリズムやテンポが合うダビド・シルバがいた。まさにソシエダが水にあったという印象でした」
スペイン代表のオヤルサバルが復帰してからは4-3-3の右ウイングが定位置となったが、システムが変わってもファーストチョイスは揺るぎなかった。
「戦術家のアルグアシル監督は相手によって戦い方を変えるタイプ。(解説を担当した37節の)アトレティコ戦で久保に対して“外に張ってボールを失わないように”という指示を感じましたが、シーズン通して右サイドでの自由度は比較的高かったと思います。プレシーズンでは出番が限られていましたから、開幕戦でいい印象を監督に与えられたのは大きかったですね。
ADVERTISEMENT
シーズン後半戦は身体のキレも明らかに良かったですし、素晴らしいゴールもたくさん生まれました。ビルバオ戦の股抜きやアルメリア戦でのカットイン。マドリー相手にも得点を奪いましたし、ゴール以外でも最終節セビージャ戦でのターンとか、アイディアも面白い。完全に“自信”が見えました」
ゴールした9試合はすべて勝利という事実
なお、久保がゴールを挙げた9試合はいずれも白星を飾っているのも見逃せない。
「全部勝ちにつながっているのも選手にとってポジティブな要素。自信があるから判断に迷いはなくなる。発想やイマジネーションは『ボールを失いたくない』という気持ちが先行しちゃうと生まれません。今季のソシエダがよりボールを保持できるチームになったことなど、全ての歯車が噛み合ったシーズンだったと思います」
ただ、三笘と同様に久保にもシュート精度の向上を求める。元ストライカーだからこそ見える「数ミリ」の誤差は結果に直結する。
「すごく高いレベルの話をしているのは理解していますが(笑)、久保もシュートの精度が上がったらさらにとんでもない選手になると思うんですよね。特に来季はCLを戦うなど、シビアな1年になる。少ないチャンスを逃したことが命取りになることだってあります。
対峙するのは一線級のGKばかりですから、いかに空いているコースに打てるかにこだわってほしい。インステップで蹴った時に少し内側に当たりすぎて真正面に行っちゃった、のようにちょっとしたズレでまったく違う結果になりますから」
来季、ブライトンとソシエダでどれくらいやれる?
最後にそれぞれの来季の展望を――。まずは「外野がとやかく言うべきことではない」と前置きしながらも、三笘の未来に目を向けてもらった。