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清楚に戦う女流棋士の日常は「サッカー好きドジっ子」? 渡辺明名人vs藤井聡太竜王の“聞き手ウラ話”も…観る将マンガ家が渡部愛さんに直撃
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/Yuki Suenaga
posted2023/05/21 11:01
女流棋士の日常ってどんな感じ? 渡部愛女流三段のエピソードを千田純生先生がマンガにしてくれました
「長い時には休憩を入れながらではありますが、9時から21時くらいまで将棋のトレーニングをやっていたこともありました。あとビックリしたのは〈体力をつけましょうね〉というアドバイスでしたね。私は子供の頃から運動が全く苦手で、腕立て伏せすら1回もできないんですよ(笑)。だから走るってこんなに大変なのか……と思いながらも、体力とともに“考える持久力”も身について、実際の対局にも生きていったんだろうなと感謝しているんです」
そういった成果もあって、2018年に女流王位を獲得し、初の女流タイトルを経験したという。うーむ、漫画にしたくなるようなエピソードだなあと……。
名人戦の聞き手の休憩中、森内先生が…
漫画にしたくなるという観点で言えば、ちょっとワガママなお願いなんですが……“女流棋士の日常、ココだけの話”を聞いてもいいですか? と恐縮しながら質問すると、「もちろん大丈夫です!」と快諾してくれた、渡部さんの素顔が見えてきました。
「私自身は自覚がなくて、ものすごく恥ずかしいんですけど『渡部さん……対局中に時々すごく怖い顔していることあるよね』と言われたことがあります(苦笑)。逆に自分で覚えているのは、指した後に別の候補手が頭に浮かんでしまって『あーーーーっ!!』と声に出してしまったことですかね。対局相手の室谷由紀さんは、内心ビックリしたと思うんですが冷静に対応してくださって、心の中で“本当に申し訳ありません”という感じでした(笑)」
そんな話の一方で……。
「女流棋戦の記録係って、実は立候補制なんですよ。この人の棋譜を勉強したい、という憧れの方の対局の記録係を務める、というケースは私を含めて多いですかね」
「女流タイトル戦では和服を着用して対局に臨みました。やはり和服を着て対局をするのは私自身とてもモチベーションが上がりましたね。自分で数着持っているとともに、棋士の方々が使われる『白瀧呉服店』さんにレンタルさせていただくケースもあります」
「対局中継の聞き手の際には休憩時間がありますが、休憩中にも出演者が控えているスペースで将棋談義をしているんです。たとえば名人戦第1局の時は、解説を務められていた森内俊之先生が、とても難解な詰め将棋を解かれていて“すごい……!”と感銘を受けていたんです。もちろん渡辺名人、藤井竜王の対局自体が勉強になることばかりですので、視聴者の皆さんと同じように局面をじっくりと見つめています」
配信映像に映らない、なんていう貴重な話……。
大阪で対局→翌日にコンサvsセレッソ観戦♪
さらにサッカー観戦が趣味ということで、それについても聞いてみることに。
「実は4月は、4試合コンサドーレの試合観に行ってきたんです! イベント出演後に雨が降る中の試合もしっかりと観に行きました。ゴール裏で声を出したり跳ねたりするので、これも運動の一環だと思っているんです」
まさかゴール裏で声を出して応援しているとは。オフを満喫してらっしゃる。