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店員さんもビックリ「こんなに売れるとは」…渡辺明名人と藤井聡太竜王が頼んだ“名人戦のおやつ”ってどんな味? 記者が実際に食べてみた
posted2023/05/12 17:05
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
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名人戦は持ち時間が9時間、2日間にわたる長丁場の対局になる。
筆者と編集者が会場の浮月楼に着いたのは、1日目のお昼だった。まだ動きの少ない1日目ということもあり、報道待機場所に人はまばらだ。主催社である朝日新聞と毎日新聞以外の取材陣で、早くからこんなに気合を入れてやってきたのはどうやら我々だけだったらしい。
豪華な昼食は無理でも…せめておやつは食べたい!
報道待機場所に人が少ないこともあってか、近くの席では昼食レポートの中継が始まった。ABEMAの中継スタッフとともに、現地で大盤解説をしている飯塚祐紀七段と貞升南女流二段がやってきた。対局者が注文したのは、渡辺明名人が「牛すき煮御膳」で、藤井聡太竜王が「由比桜海老かき揚げ御膳」。どちらもじつに豪華で美味しそうだ。横では料理を手がけたシェフが料理を解説してくれている。料理の香りと、漏れ伝わってくる説明を聞いているだけで食欲が刺激される。
「どっちも絶対に美味しいだろうな……」
高級昼食に想いを馳せていたら、あっという間に午後3時のおやつの時間になった。
名人戦の対局者は1日に2回、おやつを注文できる。午前9時の対局開始から1時間が経過した10時と、午後3時の2回である。
この名人戦第2局のおやつ選択、実は密かな注目を集めていた。
歴史あるタイトル戦ということもあり、地元の菓子文化を全国にPRすべく、静岡市がおやつコンテストを開催する力の入れ具合だったのだ。今回のおやつ候補には、市民投票で選ばれた和菓子4品、洋菓子4品という精鋭たちがラインナップされている。
1日目の午後3時のおやつ注文では、両対局者ともに「茶っふる」(茶町KINZABURO)を選択。タイトル戦での「おやつかぶり」は意外とレアケースだ。
ワッフルならぬ茶っふる――「そんなおやつもあるのか」と中継画面に映る写真を物欲しそうに眺めていたら、不憫に思った編集者が「浮月楼のご飯を食べられないなら、せめておやつだけでも!」と買いに走ってくれることになった。市内にあるお店なので、浮月楼からも近いのだ。
しばらくすると、編集者がケーキ箱を両手に持って帰ってきた。