熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「大谷翔平と相手の談笑に…」「トラウト三振後に米国人が“ナイスゲーム”と」WBC現地観戦→ブラジルで思うこと「FIFAはアグラをかいていては…」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/04/16 17:01
大谷翔平は試合前、メキシコのスタッフと笑顔で健闘を誓いあっていた
このように、フットボールとベースボールとでは文化が大きく異なるし、2019年W杯で日本代表が初の決勝トーナメント進出を果たしたラグビーもまた然り。
ただしフットボールは、ボール(もしくはボールのようなもの)が1つあれば誰でもできる極めて手軽なスポーツであり、世界で最も競技人口が多く、最もファンの数が多い。これは世界各国のフットボール関係者の長年の努力の賜物であり、大いに誇っていい。
WBCを観戦したからこそ感じる「文化価値」
その一方で、社会のあらゆる階層、とりわけ大衆に浸透していることもあり、ダーティーな行為が頻繁に起きる。そして、極めて残念なことにこれらの行為がもはや伝統と化しており、選手、ファン、さらにはメディアまでもが「当たり前のこと」と捉えていることが多い(それを是正し、審判を守るためにVAR=ビデオアシスタントレフェリー=などの新たなシステムが導入されてはいるのだが)。
何とも残念なことだが――率直に言って、他の主要スポーツと比べて、お世辞にも文化レベルが高いとは言い難い。
このため、国によって、また階層によっては子供がフットボールをすることを嫌い、教育上、もっと良い影響を与える別のスポーツを勧める親が出てきている。フットボール関係者は、このような現象を恥と考えるべきだろう。そして、他のスポーツの優れた文化を謙虚に学ぶべきでは――とWBCを観戦したからこそ感じる。
フットボールは、現在の商業的な成功や人気の上に胡坐をかいていてはならない。FIFA、世界各国のサッカー協会、クラブ関係者らフットボールに関わるすべての人たちが、フットボールの「文化的な向上」を目指して真剣に努力する必要があるのではないだろうか。
フットボールだって、ベースボールに負けず劣らず「すげえ」スポーツなのだから。
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