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「ふ、藤井聡太竜王と渡辺明名人が目の前に…ヒー」観る将マンガ家の“名人戦ドキドキ観戦記”「佐藤天彦九段の神解説、敬意もスゴい!」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/日本将棋連盟
posted2023/04/11 06:00
観る将マンガ家の千田純生先生が取材した名人戦第1局をイラストにしてもらいました!
初手から驚かされたんですが、解説会場に入ってみると、鮮やかな洋風建築に煌びやかなシャンデリア、渡辺名人と藤井竜王の写真に「名人戦(揮毫したのは森内俊之九段)」の文字が刻まれたポスター、そしてコーヒーなどドリンク飲み放題……。
「さすが椿山荘ですね」「今までで来た取材現場で一番格調高いです、間違いなく」
明らかに“おのぼりさん状態”で緊張していた僕と担当さんですが、仕事を思い出して大盤解説会の開始から見学することに。400人が入る会場の中で「15分で完売」したという話に、その人気ぶりに圧倒されました。その解説ではとにかく「天彦トーク」が超キレキレだったことが記憶に残っています。YouTubeでもアーカイブが残っているようなので、ぜひ見てもらいたいです。
対局中継の解説も十分面白いのに、それをさらに上回るかのようなトップギアぶりでした。例えば……。
「渡辺名人は基本的にツンデレなんですよー。こう指されたら“全然くやしくなんかないんだからねっ!”って感じで指すんです」
「人生にはいろいろあるということで、こう飛車が走ったとして……(ブルドーザーみたいに金銀3枚を蹴散らす)」
「二歩(※同じ筋に歩兵を2つ置いてしまうと反則負けになる)ならダメだけど、三歩なら……」「もういっそ五歩までいってみますか」
こんな感じで――「ギャグ、冗談ですよ」と挟む配慮をしながらも――ABEMAトーナメントで同チームになった三枚堂達也七段と“漫才”を繰り広げたり、ユーモアあふれる言葉に聞き手の飯野愛女流初段と観客の皆さんの笑う場面が連続してました。
その一方で渡辺名人の選んだ“ある手”に対して「その精神力を称えてほしいです」と評するなど、根本には名人経験者として渡辺名人、藤井竜王へのリスペクトがあふれているのだなと感じました。
2)いたるところに棋士がいる椿山荘
さらに会場で感じたのはホテル内のいたるところに棋士の方々がいる空間のすごさ、さらにファンサービスに対する意識のすばらしさです。聞き手で抜群の安定感の飯野女流初段、和服姿で備える立会人の中村修九段、主催新聞社でそれぞれ副立会人をつとめる三枚堂七段と千田翔太七段(同じ名字……!)、さらに「教授」の愛称で知られる勝又清和七段の姿も。さらには解説会の休憩時間に写真撮影などを求められると、棋士の皆さんは時間が限られる中でも、笑顔で対応を続けていました。
「そう言えば」と担当さんが切り出したのは、先月の話でした。