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「村上宗隆は“重圧をはねのけたから”すんなりいく」山崎武司が語る“56本塁打→WBC後の展望”と「村上級に期待」中日の有望打者2人
posted2023/03/30 06:00
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Eric Espada/Getty Images
通算403本を積み重ねたホームラン打者が目を奪われ、思わずうなる打撃だった。忖度なしで意見を述べる野球評論家の山崎武司さんが、これ以上ない言葉で表現した。
「とんでもない打者です。バリバリに元気だったら、WBC日本代表に入れるくらいの選手です。巨人の岡本(和真)選手以上、ヤクルトの村上(宗隆)選手級の打者と感じました」
2月、山崎さんは古巣・中日の春季キャンプを訪れた。そこで目にしたのがマシン打撃をしていた石川昂弥だった。愛知県の東邦高校で通算55本のホームランを放ち、2019年には地元・中日からドラフト1位指名を受けた。プロ3年目の昨シーズンは開幕一軍入りし、4月5日のヤクルト戦でプロ初ホームランを記録した。しかし、5月下旬のオリックス戦で左ひざを負傷。登録抹消となり、7月に左膝前十字靭帯の再建手術を受けた。
石川は「ホームラン打者でありながら、穴が少ない」
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まだ、石川は実戦復帰に向けて調整中だが、打撃練習だけでも格が違うという。山崎さんは「すぐに一軍で活躍できるレベル」と評し、その理由を説明する。
「力感なく打球を遠くに飛ばせるのが最大の特徴です。速い真っ直ぐに振り負けず、変化球にも対応できます。ホームラン打者でありながら、穴が少ないです」
昨シーズン、最下位に沈んだ中日の課題は明確だった。両リーグ最少の414得点。1試合平均3得点に達していない攻撃力では、なかなか白星はつかめない。リーグ優勝したヤクルトと比べると、205点も少ない。得点力不足の要因は長打力のなさ。チームホームラン数は12球団で最も少ない62本で、三冠王に輝いた村上が1人で記録した56本とほとんど変わらない。
得点力不足の解消へ、春季キャンプでは大リーグ・レッズでプレーしていた新外国人のアリスティデス・アキーノや、プロ2年目のブライト健太に期待する声が上がっている。だが、山崎さんは「ドラゴンズの救世主となれるのは石川昂弥です」と断言する。
「神宮なら40本打てる」石川の課題とは
手術した左ひざの状況を考えると、石川はシーズン開幕には間に合わない。復帰のめどは5、6月頃とみられる。山崎さんは、石川が一軍で1年間プレーできれば、ホームランのタイトル争いをする力が十分にあると太鼓判を押す。
「本拠地のバンテリンドームは広いので不利な面はありますが、神宮球場なら40本は打てるくらいの打者です。石川が早い時期に復帰して一軍に定着できれば得点力の課題が解消されるので、ドラゴンズは優勝争いできるかもしれません」