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「村上宗隆は“重圧をはねのけたから”すんなりいく」山崎武司が語る“56本塁打→WBC後の展望”と「村上級に期待」中日の有望打者2人
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間淳Jun Aida
photograph byEric Espada/Getty Images
posted2023/03/30 06:00

昨季は56本塁打を放ち、WBCでも稀有な経験をした村上宗隆。2023シーズンにどんな活躍を見せてくれるか
村上が出場し、侍ジャパンが優勝を果たしたWBCは、日本のプロ野球開幕より約3週間早く幕を開けた。日本代表の選手は、例年よりもペースを上げて体を仕上げた。投手はボールや登板間隔などの違いもあって、再び調整してからシーズンに入るケースが多い。野手も日の丸を背負うプレッシャーや燃え尽き症候群といった精神面での不安はあるものの、スタメンで試合に出ていれば、投手ほどイレギュラーではない。
昨シーズン、村上は日本人のホームラン記録を更新した。新記録となる1本を放ったのは、シーズン最終打席。王貞治さんが持つ55号の記録に並んでから61打席を要した。山崎さんは村上の打撃技術に狂いが生じたのではなく、極度の重圧が原因だったと考えている。
「村上選手にしか分からないプレッシャーがあったのだと思います。王さんの記録を超える1本になるわけなので、『普段通りに』と言われても無理ですよね」
「次も同じような場面になったら、すんなりいくと」
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山崎さんは「村上選手とはレベルが違いますが」と前置きした上で、自身の現役時代を振り返る。中日でホームラン王になった1996年を含めて、ホームランが39本だったシーズンが2度あった。「39本と40本は印象が全然違いますから」。あと1本を強く意識し過ぎて力が入り、目標に届かなかったという。
「もう1本で違う景色、一段上の景色が見えるかもしれないと考えると、どうしても打ちたい気持ちが強くなって力んでしまいます。村上選手は結果的に重圧をはねのけて新記録を樹立したわけですから、次も同じような場面になったら、すんなりいくと思います」
さらにWBC序盤戦では大谷翔平の後を打つ4番打者を任されたものの、快音が生まれず苦しむ期間があった。それでも準決勝メキシコ戦でのサヨナラ打、アメリカとの決勝での豪快なホームランで復調を果たした経験は、確実に村上にとって大きな蓄積となるだろう。
その一方で、他球団としては村上に好き放題させるわけにはいかない。絶対的な主砲を封じなければ、2年連続でリーグ優勝しているヤクルトを止められない。村上を抑える方法はないのか。山崎さんは「いかに迷わせて、リズムを崩せるかがポイント」と話す。
「踏み込ませないために内角を厳しく突く王道の攻め方はもちろんですが、器用な投手であればクイックを使いたいですね。どうやって、村上選手に気分良くバットを振らせないかが大切になります」
昨シーズン史上最年少の22歳で三冠王を獲得した村上は今シーズン、史上4人目となる2年連続の三冠王を狙う。そして、山崎さんから「村上級」と評されたもう1人の注目選手、中日・石川は6月に22歳を迎える。どこまで“本家”に迫れるのか期待は膨らむ。
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