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ドイツ相手に「バチバチやろうぜ」、試合後は川島永嗣と長谷部誠が…「どアウェイ」でパリ世代が得た経験は“2-2以上”にデカい 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byDaisuke Nakashima

posted2023/03/26 11:00

ドイツ相手に「バチバチやろうぜ」、試合後は川島永嗣と長谷部誠が…「どアウェイ」でパリ世代が得た経験は“2-2以上”にデカい<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

敵地でのドイツ戦を2-2で終えたパリ世代の日本代表。川﨑颯太がデュエルを制する場面もあった

「『バチバチにやってやろうぜ』と伝えていたんです。それをしっかりやってくれた」と大岩剛監督が手応えを滲ませる。

 時間の経過とともに自分たちの時間を作れるようになったのも収穫だ。

 ドイツは西尾隆矢と木村の両センターバックの前に両サイドハーフとセンターフォワードの3人が立ち、中盤への縦パスのルートを塞いでボールをサイドへと誘導し、インサイドハーフが潰しに出てくる形でプレスを掛けてきた。

 前半半ばまでは攻撃の形を作れなかった日本だが、徐々に対応力を発揮していく。ビルドアップでも奮闘した川﨑が振り返る。

「センターバックや(GKの鈴木)彩艶からボールがもらえないなと。そこで、サイドバックを経由して僕が受けるようにしたら、相手のFWは捕まえにくそうだったので、それを狙うようにしました。理仁が高いポジションを取ってスペースを空けてくれたり、僕が間に合わないときには理仁が横に入ってくれたり、すごく気を遣ってやってくれた。途中から自分たちも相手の穴を見つけることができたと思います」

ドイツの的確なスタイルから学び、モノにできるか

 とはいえ、まだまだ再現性のある攻撃は少ない。

 GKと両センターバックとアンカーの4人で自在にボールを運んで日本の第1守備ラインを軽々と越え、日本陣地で数的不利を突きつけてきたドイツのビルドアップやサイドでのローテーションこそ、大岩ジャパンがやりたいプレーだ。

「自分たちがどのタイミングで、相手をどう見て崩していくかを選手たちは理解し始めたというか、共有し始めたというか。少しずつできてきている」

 大岩監督はそう振り返ったが、相手の的確な立ち位置やボール循環の仕組みを目の当たりにして、どう学び、自分たちのモノにしていくか――。それが、今後の大岩ジャパンのテーマのひとつと言える。

会場に訪れた川島と長谷部のメッセージとは

 その意味で、“最高のお手本”との対戦を実現しているマッチメイク力も讃えたい。

 昨年9月にスイスとイタリア、同11月にスペインとポルトガルと試合を行い、今回はドイツ戦とベルギー戦、さらに6月にはイングランド戦が予定されている。

 今年6月のU-21欧州選手権(23歳以下の大会)を控え、準備に余念のない各チームとの内容の濃いゲームを積めているのだ。

 だからこそ、万全の状態ではない選手がいたのは残念だ。

【次ページ】 会場に訪れた川島と長谷部のメッセージとは

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