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“日本代表監督説もあった鬼才サッカー戦術家”講習がスゴい…“本田圭佑の元個人分析官”の発見「いつかビエルサジャパンを見たい」

posted2023/03/25 11:06

 
“日本代表監督説もあった鬼才サッカー戦術家”講習がスゴい…“本田圭佑の元個人分析官”の発見「いつかビエルサジャパンを見たい」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

白石尚久さんが指導を受けたビエルサの講習会とはどんな内容だったのか(2012年撮影)

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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Asami Enomoto

 本田圭佑の元個人分析官で、現在ヨーロッパで奮闘する異色の指導者・白石尚久さんが聞いた「カタールW杯スペイン戦の真相」と戦術の鬼才と呼ばれるマルセロ・ビエルサの講座についてのインタビューをお届けします《全2回の2回目/前編からつづく》

 もしかしたらマルセロ・ビエルサは、日本代表監督に興味があったのではないか?

 そんなことが窺えるエピソードがある。

 カタールW杯の期間中、白石尚久(ベルギー2部・KMSKダインゼ元監督)が、知人に誘われてビエルサの講習会に参加したときのことだ。

あれは練習していなかった形だろう?

 講習会の途中、突然ビエルサが日本代表について次のように語り始めたという。

「日本はドイツに逆転勝ちしてサプライズを起こしたが、あれは練習していなかった形だろう。まったく連動していなかったからな。個人が自分の判断で動いていた」

 白石はこう振り返る。

「ノルウェーサッカー協会がUEFA Proライセンスのリフレッシュ講習にビエルサを呼び、僕の知人がその通訳を務めることになり、『タカも来る?』と声をかけてくれたんです。僕はスペインサッカー協会でUEFA Proを取ったのでノルウェーサッカー協会は関係ないんですが、前からビエルサのやり方に興味があったので参加しました。そうしたら日本代表の話が出たので驚きましたよ(笑)」

 共同通信が「日本サッカー協会が次期監督としてビエルサの調査に乗り出している」と報じたのは日本対スペイン戦の当日のことだ。日本サッカー協会技術委員長の反町康治がビエルサに会ったとされている。

 しかし残念ながら年俸の希望額に開きがあり、交渉が進まなかったようだ。

 それでもビエルサが日本戦について講習会で触れたということは、分析しながら試合を見たはずで、少なからず興味があったと推測できる。

日本人選手なら粘り強く取り組むのではないか

 もしいつかビエルサが日本代表監督に就任したら、はたしてうまくいくだろうか?

 そう質問すると、白石は即答した。

「絶対うまくいくと思います。ビエルサはすべてのポジションに対して『どう動くか』という約束事が10~12ずつあり、それを365日かけて落とし込んでいく。グループの連携も多数あり、たとえばスルーパスに対しては21個の動きがある。

 ヨーロッパのチームだと選手が途中で嫌になってしまう傾向があるんですが、日本代表選手ならば粘り強く取り組み、ビエルサ理論をコンプリートできるのではないでしょうか。想像もしなかった化学反応が起こる気がします」

 一般的にサッカー界では決まった動きを繰り返す「パターン練習」は、低レベルの指導者がやるものだとされている。イビチャ・オシムがさまざまな色のビブスを用意したように、思考に働きかける練習の方が現代的だ。

 だが、「パターン練習」も極限まで突き詰めたら話は別だ。

【次ページ】 パターンを何度も繰り返させ、体と頭に刷り込む

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