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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボはW杯で不運だったが…」ソシエダ番記者が斬る久保建英“成長への布石”とは「次は日本代表の絶対的存在となるはず」
posted2023/02/25 17:03
text by
ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
今季の久保建英を一言で表現するなら「スペクタクル」だ。レアル・ソシエダでプレーする彼はキャリア最高の輝きを放ち、スペイン移籍以降のベストパフォーマンスを発揮し続けている。
「ゴール前ではもっと落ち着かなければならない。トップレベルの選手に飛躍するためには、もっと多くのゴールとアシストを積み重ねる必要がある」
先日もそんな“真言”を口にしていた久保は、自身が今以上に重要な、他とは一線を画す選手になれることを自覚しはじめた。そしてその背景には、カタールで経験した初めてのワールドカップが影響している。
プレスをかけ続けて相手を疲弊させる布石
21歳で迎えた初めてのW杯で、久保は生涯忘れることのない日々を過ごした。
誰もが予想し得なかったカタールでの躍進を経て、久保は強豪国と日本を隔てる距離がそこまで離れていないことを実感したはずだ。その経験は彼を一回り成長させただけでなく、今後も成長を促す糧となり続けるだろう。
時代背景の違い、選手としての比較云々は抜きにして、カタールにおける久保は初めてワールドカップに出場した若き日のマラドーナと重なる部分がある。特筆すべき活躍は見せられなかったものの、当時のマラドーナはこの大会を通してワールドカップでの戦いを学び、後の大会で主役となるための経験とモチベーションを手にしている。
久保が日本代表と共に目指すべき未来も同じだ。初出場のワールドカップではドイツ戦とスペイン戦に先発したものの、思い描いていたような活躍を見せることはできなかった。
守備に奔走し、プレスをかけ続けることでライバルを疲弊させ、後に生じる隙をチームメートが生かすための布石を作る。攻撃の選手としては損な役回りに徹した末、クロアチアとの決勝トーナメント1回戦は体調を崩してホテルのテレビで観戦しなければならなかった。あまりに不運な結末である。
ソシエダ監督が認める「クオリティーの高さ」
ただ、そうしたカタールでの経験は全てラ・レアルでの活躍に繋がっている。
2月13日に行われたエスパニョール戦もそうだ。コルネジャのピッチにて、久保は文句なしのマンオブザマッチに選出された。自軍の勝利を決定付けたこの日のプレーは、サンセバスティアンに来てからの成長ぶりを証明するものであり、レアル・ソシエダでのベストパフォーマンスと言えるものだった。